劇場公開日 2013年8月9日

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「デストロイ・オール・モンスターズ! 【スコア修正】」パシフィック・リム 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5デストロイ・オール・モンスターズ! 【スコア修正】

2013年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

サマーシーズン突入で、見応えありそうな超大作がドカドカ
公開される今日この頃。
気になる大作映画はまだまだあるが、早くも今年の真打ち
出ちゃったんじゃね?と個人的には感じておりますよ。

いやいや、凄いのなんのって!
スケール感バリバリのメインテーマをバックに、
ガシャコーン!と拳を打ち鳴らす超巨大ロボットの勇姿!
『ゴジラ』よろしく冒頭で漁船を襲うKAIJUの圧倒的スケール感!
開始10分のバトルシーンからして気合いの入り方が尋常じゃない!
物理的スケールがとにかくデカすぎなバトル
そして映像の数々に興奮しまくり。
中盤のバトルシーンなんて、もうね、物凄いっすよ。
あんまり細かくは書きませんけどね、
笑えてくるくらいにド迫力かつアイデア満載ですよ。

バトルシーンだけではなく、KAIJU達の正体は?という
サスペンスや魅力的なキャラ達のやり取りで飽きさせない。

ナイーヴな存在感を発揮するヒロイン菊地凛子。
リーダーそして親として、その漢気溢れる姿に
シビれまくりな司令官イドリス・アルバ。
ドラ息子への愛情が泣ける老兵マックス・マーティーニ。
意外な頑張りを見せるハイテンション科学者コンビ、
そして真っ赤なスーツが悪趣味過ぎる闇商人ロン・パールマン
(「俺の靴はどこだ?」(爆))。

あと芦田愛菜ちゃんね。ショウビズ慣れし過ぎてるイメージが
付き始めているように思える今日この頃だが、
なんだかんだでこの子、上手いわ。自然。
いやあ、みんなキャラ立ちまくってますなあ。
……その分、主役の兄ちゃんが霞んじゃってるが(笑) 。

ギルレモ・デル・トロ監督は、日本の特撮文化を
心からリスペクトしてくれている方だ。
初期『ゴジラ』の監督、本多猪四郎氏へ本作を捧げるとの
テロップも出る。しかもレイ・ハリーハウゼンと並んで!
実際本作の演出も、日本の怪獣映画を連想させる点が多い。

特に顕著なのは、KAIJUの巨大感を演出するため、
人間の目線からKAIJUを見上げるようなカメラを多用したり、
極端に小さなアイテムをシーンの合間に挟み込むなどしている点。
これは古き良き日本怪獣映画の伝統とも言える手法だけど、
監督は更にもう一歩踏み込んでそこにケレンを追加している。
イェーガーの拳がオフィスビルに突っ込んで机を
薙ぎ倒した挙げ句、振り子をコツンとやるシーン、最高(笑)。
KAIJUの動きが速すぎて重量感があと一歩に思えるが、
これは戦闘シーンをスピーディに見せるための措置だろう。

特撮映画のパイオニアたる日本でこそこういうエンタメを
作って欲しかったが、今は流石に予算が出ないだろうしね。
デルトロ監督のように、日本特撮を愛してくれてる人が
メガホンを取ったのはかえって幸運だったかもしれない。
作り手によってはデカい海イグアナの映画になってても
おかしくなかった訳ですから(笑)。

以下、不満点。
・KAIJUの見た目にもっとバリエーションを出して欲しかった
・中盤のバトルシーンが凄すぎて、終盤の盛り上がりが今ひとつ
・主人公が操る以外のロボットの活躍をもっと見たかった
・主人公のキャラや、ヒロインが怪獣に対して抱く憎悪が
 書き込み不足に思えた

まあ別に減点法で判定してる訳じゃないし、
それら欠点を含めてもムチャクチャ楽しめたと言うこと。
大・大満足の4.5判定!

それにしても大都市以外では2D字幕と3D吹替しか
上映してないのは悲しい。この映画は是非とも
3Dで観賞したかった。再観賞を検討中……。

〈2013.08.10鑑賞〉
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余談1:
日本でも評価/興行ともに好調な本作。
日本で受けても海外ではどーなのと思って調べてみたが、
アメリカでの興収は8/11時点で製作費(約2億ドル)の半分程度と
苦戦を強いられている。が、全世界での興収はすでに3億ドル近く
に達しているので、まずは成功として見ていいんじゃないかしら。

まあ“売れた”=“面白い”とは限らないのでもうちょい調べると、
“rotten tomatoes”やIMDBといった米国レビューサイトでは
平均スコア70~80/100とかなり好意的に受け取られている模様。
日本カルチャーへのリスペクト満載な映画が海外でも
受けてるなんて、やっぱりちょっと嬉しいもんすね。
やったじゃん、デルトロ監督、ありがとさん!

余談2:
デルトロ監督、つい最近までホラー作家 H.P.ラヴクラフト原作の
『狂気の山脈にて』映画化を進めていたが、公開予定の近かった
『プロメテウス』に内容が似ている事などを理由に企画が頓挫。
その鬱憤晴らしなのか、『次元の裂け目』とか『有史以前
からの◯◯』とか随所にラヴクラフト作品っぽい要素が
見られる点が面白い。
本作もヒットした事だし、この勢いで
『狂気の山脈にて』の企画も再始動してくれんかなあ。
ま、『パシフィック・リム』よりかなり客層狭そうか(苦笑)。

浮遊きびなご
としぱぱさんのコメント
2014年4月2日

浮遊きびなごさん

こんにちは。
遅ればせながらやっと見る事が出来ました。
しかし、相変わらず、力作のレビューですね。
脱帽です。

ちょっとした短編小説読んでるかの様です。
内容には全くの同感です。
いいね、百回位押したい気分です。

素直に監督に敬意を表します。
童心に帰れた良い作品でした。

としぱぱ