「新たな金字塔」ゼロ・グラビティ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
新たな金字塔
とにかく脚本と見せ方が巧い。
実質出演者はサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの二人だけ。スペース・シャトルの船外活動中に、いま問題にもなっている宇宙ゴミが襲ってきて漆黒の宇宙に放り出されてしまうというアクシデントを描く。普通なら、放り出された時点でアウトだ。慣性で宇宙の果てまで飛んで行く。ところがなんと、これを生還させようというのだ。
「アポロ13」(1995)では船内に利用できるものがないか地上のスタッフも交えてシミュレートするが、単独で放り出された飛行士に利用できるものなどない。それどころか交信が途絶え、酸素が急激に減っていく。どうやって生還させるのかまったく先が見えない。
次から次へと現れては消える希望の光りに、1時間半、拳に力が入りっぱなしだ。
自らが天地のない漆黒の無重力空間に入り込む大きなスクリーン、藁をもつかむ思いで手に触れたものを握った感触を伝える音、そこには劇場でしか体験できない醍醐味がある。
生命が初めて海から陸に揚がったときを彷彿させるラストは、生きる力と希望で溢れている。
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