「宇宙空間綱渡り」ゼロ・グラビティ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙空間綱渡り
「今すぐ観て下さい!早く体験して下さい!」と激しくオススメ致します。
ずっと、ただただ、ひたすらに、クライマックス。
一切の一息付く暇なし。
やっと束の間、やっと少し、やっとほんの一寸、やっと憩えたと思いきや、次の瞬間もやっぱりクライマックス。
無音状態、酸素も足りない、誰の助けもない極限状態で気が狂いそうなサンドラ・ブロックに対し、我々観客は無責任に手に汗を握り、息を詰まらせるだけという、果てしない彼女との温度差。
まだこちらとすれば、サントラも流れて無音じゃない分、劇場に居るという認識は出来る訳です。
それなのに、でもやっぱりなんですよ。
気付けば我々も無重力空間に放り込まれているという。
こんな経験なかなか出来ない。映画館でありながら、そこはもう宇宙空間です。
いや、紛れもない宇宙です。無重力です。空気は足りてるけども。
非常に素晴らしい体験でした。過酷で、恐怖で、壮絶だけど。
で、じゃあサンドラ・ブロックだけの出演で良かったんじゃん?となるんだけども、実はジョージ・クルーニーの存在がとても大きいんですよね。
彼が演じるマット・コワルスキーがサンドラ・ブロック演じるライアン博士にとって、サバイバルする上での背骨になっている。
彼が居なかったら、彼女はとっくに諦めて宇宙の塵芥になっていた。
ここに、何というか、ドラマがあるし、彼の存在に観客すらも救われているというか。
映像体験だけじゃないんですよ。ヒューマンドラマが軸にしっかりと組まれている。人間愛、人生賛歌の類が根底にちゃんと流れている。
いやね、もうね、本当、素晴らしい。
これだから映画はやめられないッス。
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