「目には目を、毒には毒を、ギャングにはギャング警察を」L.A. ギャング ストーリー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
目には目を、毒には毒を、ギャングにはギャング警察を
もしアナタが、一捻りある映画や斬新な映画が好きというならば、この映画はオススメしない。
何故なら、超ド直球の映画だからである。
1940年代のロス。街を牛耳るギャングとロス市警の戦い。
1940〜1950年代に量産された犯罪映画、ハードボイルド映画、フィルム・ノワールの雰囲気そのまま。
久しくこういう映画は見ていなかった。
「アンタッチャブル」「L.A.コンフィデンシャル」が好きなら絶対見逃せない。
事実に着想を得た映画。
街を牛耳るギャングのボス、ミッキー・コーエンは実在の超大物ギャング。あのアル・カポネと親交もあり、メディアにも登場して「俺は誰も殺していない。つまり、殺す必要のない奴は」とまで語った、セレブ並みの悪のカリスマ。
そんなコーエンの非道に立ち向かうは、ロス市警。
だが、普通の刑事だったら太刀打ち出来ない。そこで集められたのが…はみ出し刑事たち。
目的は逮捕ではなく、組織の壊滅。手段は超手荒な実力行使。
毒には毒を、だ。
よって、映画も渋いハードボイルドではなく、バリバリのアクション、アクション、アクション!
生きるか死ぬか、男たちの戦いにハラハラドキドキ。
勝っても彼らに賞賛は無い。出世も名誉も無い。一歩間違えれば、あるのは、死。
何故、男たちは戦うのか?
わざわざ言葉にして説明する必要もあるまい。
うっすら「七人の侍」と同じものを感じた。
役者陣も適材適所。
ジョシュ・ブローリンの男臭い風貌はこういう映画にぴったり。
ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの美男美女で華を添える。キュートな印象でしかなかったエマは妖艶な魅力で見る者を虜にする。
脇をジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ペーニャら個性派で固める。ロバート・パトリックもいい感じに老けた。ニック・ノルティは貫禄たっぷり。
そして、コーエンに扮したショーン・ペン。問題児だった若き頃を思い出させるような、凄みたっぷりの存在感と怪演。
これだけ面白味が詰め込んであるのに、アメリカでは興行・批評共に不発。
何の何の、充分面白い!
この雰囲気と、ワイルドな男たちにしびれろ!