「広げた大風呂敷を綺麗に畳む難しさ」シン・エヴァンゲリオン劇場版 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
広げた大風呂敷を綺麗に畳む難しさ
初作からエヴァの評判は既知の事と思いますが、セカイ系の元祖でありアムロ・レイ以降のヘタレヒーロー、そして幼く寡黙で不思議な雰囲気を放つ血塗れヒロインの登場など、今に至っても振り返り遡り話題になる、間違いなくアニメ文化に名を残す作品だと思います。
『序』が2007年9月、そこから2・3年ペースで3章『Q』まで上映後、いきなり8年もの年月が経過後の本作、庵野監督のヤル気を疑ったりもしましたが(イロイロあった様ですが)、とにかく幕引きが叶って一安心です。
とは言え、内容は相変わらずよく解らないもので、展開と展開を結びつけるのに「超展開」と言う接着剤が使用されてる形跡は否めません。一例で『矢』に関する説明部分はポカーンでした。従って本作はストーリーの詳細を重要視せず、場面や展開のビジュアルや迫力を楽しむつもりで鑑賞しています。勿論数度再鑑賞する前提で。
序盤の長閑な展開も、後半の派手な戦闘アクションも何れもエヴァっぽいソレを感じながら鑑賞していましたが、凝った見せ方・シーンの表現が奇抜だったりと庵野監督らしさがシッカリ出されていたと感じました。また(必要かどうか別として)微エロもコソッと混ぜる等も監督の趣味なのかな?と勘ぐりつつ、ソレはソレで良いんじゃないでしょうか。
当然気になる点も。まずQの結末以降序盤よりイジケていたのに中盤以降徐々に復活し、ラストにはスッカリ大人に成長したシンジ、そのイジケ虫から立ち直るのに、彼の見てない所で周囲の心配や見守りがあったにせよ本人に直接の切っ掛けらしいものがあまりハッキリしなくて、そこら辺に何か違和感を感じました(後に要確認)。
また、デカ綾波のCGが異様にリアルだったり、同様にラストの街の俯瞰が徐々に実写になってく部分や、首ナシ人体の隊列などあまりアニメらしくない絵面に映る部分があり、個人的にはその辺りはマイナスとなりました。一方で〝親子喧嘩〟のシーンでビルをなぎ倒すアレは意図的?
ところでこのシリーズ、序・破・Qと「ヱヴァンゲリヲン」だったのが本作では「エヴァンゲリオン」表記だったのは疑問で、単にキャッチコピーの示すとおり『すべてのエヴァの結末』を意味するのでしょうか?
結局の所、この内容で幕を閉じざるを得なかったんだろうな、と個人的には感じました。そんな中でも比較的ベストに近いベターな仕上がりだったと思います。
という訳で、ここに一つの超大作が完結しました。庵野監督にはウルトラマンの次には、続・ナウシカあたりを制作して頂きたいかなと思ったりしています。
余談ですが『碇ゲンドウ・シンジ』親子と『真壁史彦・一騎』親子は類似した境遇・環境下にあると思われますが(ユイは初号機に取り込まれ、紅音はフェストゥムに同化、カーちゃんまで似た様なソレ)、父と息子を描く物語では自分は後者の方が好みです。