「25年の重みが込められた、渾身の一撃…! 今はただただ、ありがとう。」シン・エヴァンゲリオン劇場版 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
25年の重みが込められた、渾身の一撃…! 今はただただ、ありがとう。
エヴァンゲリオンのパイロット・碇シンジの戦いと葛藤を描くSFアクションアニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の第4作にして、25年以上に渡り紡がれ続けた『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの終着点。
過酷な現実に耐えきれず、心を閉ざしたまま彷徨い続けるシンジ。
その絶望の果てに見つける答えと、ネルフの司令官にして父親、碇ゲンドウとの決着が描かれる。
監督(総監督)/脚本/原作/企画/エグゼクティブプロデューサー/画コンテ/原画は庵野秀明。
○キャスト
加持リョウジ…山寺宏一。
新たなキャラクターとして、葛城ミサトの息子で父と同じ名を持った少年・加持リョウジの声を演じているのは『ハイキュー‼︎』シリーズやテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』シリーズの内山昂輝。
またとある青年の声優に、『千と千尋の神隠し』『君の名は。』の神木隆之介がキャスティングされている。
第45回 日本アカデミー賞において、最優秀アニメーション作品賞を受賞!
遂に…。
遂に……。
遂に………!
終わってしまった〜〜〜〜😭
アニメのみならず、日本のサブカルチャーというものを根底から変革し、25年以上圧倒的な存在感を放ち続けた『エヴァンゲリオン』。
その作品を原作者自らの手で葬り去るという、150分にわたるお葬式。
そもそも、150分のアニメーションなんて洋の東西を問わず聞いたことがない。歴代最長作品なのでは?
鑑賞後、あまりに感情を揺さぶられすぎて気分が悪くなった…🤢
気持ちをどう整理していいのか分からず、エンドロール中ずっと頭を抱えていました…。
なんて言ってますが、自分は漫画版と『新劇場版』シリーズしか観ていない完全なるにわかなんです…。
「邦キチ!映子さん」という邦画プレゼン漫画で、『シン・ゴジラ』しか観ていないにも拘らずゴジラ好きを自称する「映画について語る若人の部」部長の洋一に対し、「特撮作品について熱く語り合う部」部長の御影が「この…ゴジラ泥棒め‼︎」とブチ切れ、「ちゃんとあんまよくないヤツも観ろ‼︎」と説教するという名(迷?)シーンがありますが、自分は完全に「エヴァ泥棒」。
辛いと噂の『旧劇』とかは観てないのです。
そんな「エヴァ泥棒」でも感情ボロボロにされたんですから、リアルタイムで20年以上付き合い続けているコアなファンの方々の気持ちは、察するにあまりあります。
ぶっちゃけ『新劇場版』を観始めたのすら去年という、あまりに浅い観客の自分がこの作品にとやかく言うべきでは無い!…けどちょっとだけ。
正直クライマックスの碇ゲンドウとの対決…というか対話シーンには心が揺さぶられた。
碇ゲンドウは俺だっ…、と思ったのは多分自分だけでは無いはず。
父ゲンドウが自分の弱さを吐露し、息子シンジがそれを受け入れる、というこの一連のシークエンスは、アニメ史上最高の名場面として後年まで語り継がれるのでは無いでしょうか。
本当に心が痛かったし、眩暈がするほど衝撃を受けた。
まぁ冷静に考えると、『アベンジャーズ』シリーズのサノス以上に人々を抹殺したゲンドウに対して優しすぎるだろうとか思うんですけどね😅
そこからの怒涛のキャラクター救済。
アスカ、カヲル、綾波という、25年に渡り戦い苦しみ続けた彼らを救い出す、そのシンジのあまりに成長した姿に大いに感動!🥲✨
シンジ、お前誰よりも大人だよ…。
本当に後半1時間くらいは、体感時間10分でしたね。もうあっと言う間。
本当に150分も上映時間あった?1時間くらいじゃなかった?
後半は大好き💕
庵野秀明という、宮崎駿に「いろいろなものを背負って歩いている、ギリギリのところに生きている」と言わせた男が、自分の内面をこれでもかと表現し、そしてそれを救済の物語に仕立て上げたという事実だけで、アニメファンとして心にグッとくるものがあります。
「映画監督とはパンツを下ろす事」と言いますが、今回の映画の庵野秀明のフルちん加減はすごかった。そしてその一物がデカかった!
庵野秀明も大人になったな〜〜〜…って60のお爺に言う事ではないけど💦
本作は完全に私小説。太宰治と並んだといっても過言では無いほどの、見事な私小説でした。
でも、前半はそれほど好きじゃない。
冒頭のパリでのアクションシーン、ここなんか完全に迫力不足だった。アクションとしての面白さが欠けている。
本作ってエヴァの格闘シーンが極めて少ないという『パトレイバー2』(1993)みたいな作品だと思うんだけど、その数少ない格闘シーンが全て面白くなかった。
いや、シンジとゲンドウの親子ゲンカは面白かったな。シリアスな笑いと言いましょうか、あの特撮セットでのバトルという発想には驚かされた。
そこ以外、アスカとマリのバトルシーンがいまいちだった。
というより、これは個人的な感情なんだけど、マリが好きじゃ無いからマリのバトル見ても心が躍らないンスよ💦
本作のバトルは6割方マリのバトルだから、つまらなく感じたのかも。
第3村のあれこれも、実はそんなにノれなかった。
たしかに綾波(仮)は可愛かったし、微笑ましいエピソードだと思う。
東日本大震災後のアンサーとして、こういうシーンを入れたかったという庵野の気持ちもわかる。
でも、こういう『おもひでぽろぽろ』(1991)的な、高畑ジブリ的世界観はエヴァに望んではいなかった。
あのニアサー後の世界を生き延びた人たちのコミュニティを、あたかもユートピアのように描くのはちょっと安直すぎるような気がする。
シンジの背後には守るべき人たちがいる、という説明になっていると思うけど、逆に言えばちょっと説明的になりすぎているところもあるかな。
あとヴィレの作戦が全然わけわからん。
いや、わけわからんのはエヴァなんだから別に良いんだけども、ヴィレのキャラクターに誰1人として魅力が無いのは問題有り。正直ネルフ組以外の名前を全く覚えられなかった😅というより、覚える気も起きないくらいキャラ的につまらない。
最後、『天気の子』(2019)かなと思うような発砲シーンがあったけど、こういうわざとらしい見せ場いらんねん。冷めちゃう。生きるか死ぬかのあの場面であんなに仲間割れするのも良くよく考えると不自然だしね。
一番の問題点は、マリというキャラクター。
個人的に好きになれないのは、やっぱり上手く物語に溶け込めていないからだと思う。
作者の愛が込められている、というのは良くわかる。…が、その愛とマリの魅力とが釣り合っていない。
なんかよくわからんキャラが大活躍して、その結果レイとかアスカの出番が割り食っているような感じがする。
なんやねんイスカリオテのマリアって。ちゃんと説明をしろ説明を。
んで、そのマリとシンジがくっついちゃうんだよなぁ😅
それはまだ許せるけど、アスカがケンスケと…。
…あべしっ!🤯
クライマックスのカップリングは、意図的にファンが望んでいないものにしたのだと思う。
イマジナリーを卒業してリアリティを生きろよお前ら、という『ホーリーマウンテン』(1973)的なメッセージ性が詰まっているのだから、キャラクターを救済しつつエヴァファンを突き放すというやり口としては上々。
でもな〜、やっぱりな〜、このカップリングには納得できね〜😫
クライマックスのイケメンと化したシンジについては、肯定も否定も出来ない。ジョジョ6部みたいだなとは思ったけど。
でも最後の最後、映画が庵野秀明の故郷である宇部の町で幕を閉じたのは感慨深かった。まるで太宰治の「津軽」のような爽やかさというか、郷愁の念を感じた。
ここで、「あぁ終わったなエヴァ…。」というのが実感出来ましたね。完全に庵野秀明の中からエヴァのキャラクターたちが旅立ったというか。
もうオッケーオッケー🙆♂️庵野が良ければそれで良いよ👍
本作は多分に私小説的な側面を持っている以上、エヴァへの想い…というより、庵野秀明への想いの強さによって評価が変化するタイプの映画なのは間違いない。
正直、『新劇場版』だけを観てこれを観ても完全には楽しめないのだろう。
やっぱりTVシリーズも『旧劇』も全部観て、なんなら『トップ』も『ナディア』も『オネアミス』も『シン・ゴジラ』も、庵野の仕事を全部観てから鑑賞するのが正しい見方な気もする。
納得出来る人も出来ない人も、両方いるのは仕方ない。だって変な映画なんだもん。
しかし、日本アニメ史における一つの区切りであり、日本アニメの総力戦のような前衛的で情熱的な作品なのは間違い無い!
アニメファンなら観るしかない!
とにかく、庵野秀明監督お疲れ様でした!
『シン・ウルトラマン』も楽しみにしています♪
そして、『風の谷のナウシカ2』作って下さい〜🙇♂️
※「シンエヴァの薄い本」入手の為、2度目の鑑賞。『EVANGELION:3.0+1.01』という再編集バージョンでの鑑賞となったが、前バージョンとの違いは全く分からず。
初見の時にはわからなかったアレやコレやを理解することが出来て、2度目の鑑賞でないと味わえない楽しみがあった。
反面、説明台詞の多さやヴィレのメンバーが繰り広げるどうでも良いドラマの退屈さは初見時よりも気になってしまった。
冷静になって考えるとちょっと個人評価が高すぎたような気がするので、少しだけ下方修正。それでも十分に傑作たり得る作品だと思います♪
しかし「エヴァを卒業しろ!」という作品なのに、追加の特典をつけたり庵野秀明展を開いたり…。
一番エヴァを卒業出来ていないのは公式なのでは…😅
>「ちゃんとあんまよくないヤツも観ろ‼︎」と説教する
あはは。これ、知らなかったけれど、ホントに名言ですね。
いやあ、たなかなかなかさんの、エヴァンゲリオン愛、いや、庵野さん愛が溢れかえるこのレビュー、ホントに最高です!
これだけ愛あるレビューを書ける人を、誰も「にわか」なんて言わないと思います!
って、俺に言われてもなんだかな