51(ウーイー) 世界で一番小さく生まれたパンダのレビュー・感想・評価
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自分が試されてる様で、とにかく誰かに見てもらいたい
公開初日に家族4人で行きました。
あまり評価している人がいないので、誰かが書かねばと思い書いてます。
見に行った結果は、嫁は号泣、9才の娘は多少のハテナを残しつつ面白かった〜と満足。6才の息子は単純に面白かった可愛かったを連発です。夜は二人で「新しい遊び」ごっこをしてました。あのシーンはめちゃくちゃ可愛いです。ひねくれ者を自負する私は、このシーンだけでも来た甲斐があったな、などとその時は思ってました。その私ですが、ファミリー映画だと思って油断して見ていたせいもあるでしょうが、ラストは号泣していました。ちょっとここで言わせてもらいたいのは、お涙ちょうだいの映画ではなかった、と言う事です。無理矢理泣かされた訳ではなく、いろいろな事を考えさせられつつ、自分の事のように泣きました。この映画ははっきり言って、男の人の方が泣くと思います。嫁は悩める母親の為の映画だ、と言ってます。それには賛成です。でも、僕にとっては多少の人生経験を積んだ男の人に見て貰いたい映画です。嫁も自分の事のように泣いたと言ってます。本当にこの経験が(大げさな言い方ですが)何だったのか、うまく判断がつきません。いい映画です。泣きました。それ以上に、本当に親である事と、自分自身も子供であるのだ、という事をとても考えさせられました。
内容で言いますと、未熟児だとか障害だとか、そういう医療的科学的に重たいテーマではありませんでした。超未熟児の部分はあっという間に終わります。その後に描写されるパンダの世界が人間社会と似通っていて、「誰か着ぐるみの中に入ってるんじゃないか?」と疑いたくなるような、いい芝居(?)が沢山見れます。悩める母親として登場するマオマオとリリは、本当に秀逸です。ガチで見て貰いたいシーンです。
「多少のハテナ」は、難解と言う訳ではありません。うちで言うと、その「ハテナ」は親子で長期的な目で見て対応するべきだ、ということで意見がまとまりました。娘が高校卒業ぐらいにもう一回見たい、と思っています。「ハテナ」の意味はそれぞれの人生経験で自分で解釈を下すべきだと思います。うちの息子には、独り立ちしてから勝手に見ればいいでしょう、と思っています。映画の内容としてはそれくらいがちょうどいいのですが、独り立ちする前に軽々しく見てほしくないという気持ちもあったりします。
今、本当にどの映画を子供と一緒に見ればいいのか悩む事が多かったのですが、こんなに見終わった後も大事にしていける経験を親子で出来たと言う事は、思っても見ませんでした。
ちょっとうちの事を書きすぎました。客観的な事を纏めます。
説教臭いネイチャーものではありません。ナレーターもとても作品と合ってます。モデルの長谷川潤さんがナレーター初挑戦だとの事ですが、下手のゴリ押しでもなく、説教臭くもなく押し付けがましくもないです。最初は独特のイントネーションに「おや?」となりましたが、ラストは、ちょっと本当にすごいです。一生懸命さが、じわじわとボディーブローのように効いて来ます。音楽もとても合っていました。うるさすぎず、洗練されていると思いました。あのメロディーを聞くと、今でも泣いてしまうかもしれません。
作品全体ですが、パンダを見ていたらいつの間にか人間そのもののドキュメンタリーを見せられているようで、不思議な感覚になりました。それも、パンダを擬人化しているのではなく、パンダそのものの悩みが見えて来て、それが我々とたまたま同じであるような作りになってます。そして何と言っても、パンダの一つ一つの動きが可愛いです。子供のパンダなどは動いているだけで犯罪、と言うくらい可愛いです。これだけでも損はしないと思います。
レビューを書きつつ、何を書けばいいか分からなくなて来ました。誰かが書かなければ、と思いつつ書いていて思ったのは、何とも他人に伝え辛い映画だという事です。可愛いだけではない、しかし難しいドキュメンタリーでもない。ジャンル分けしろ、と言われたら、本当に悩むと思います。動物ものでありながら、ヒューマンもの、と言っておきたいです。作品中にヒューマンはほとんど映っていません。映画を見ている目が、ヒューマン、見る人が試されてる、そいう意味で…。そして、本当に”親子”を意識してみてもらいたいです。これから親になる、又は、一生子供でいたい、そういう人たちにも見て貰いたいです。そして、どういう風に見たか意見を聞かせてもらいたいです。
とにかく他の人の意見を聞きたくなった映画です。みんなどういう風に見てるのでしょうか?
点数4.5はそんな自分のヒネクレ度を差し引いて。
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