「大人の都合によってあんまりな終わり方をしたドラえもんズ最後の作品。」ザ☆ドラえもんズ ゴール!ゴール!ゴール!! TAKEさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5大人の都合によってあんまりな終わり方をしたドラえもんズ最後の作品。

2025年3月9日
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鑑賞方法:映画館

コアなファンから今でも愛されているドラえもんズの劇場短編映画としては最後の作品。それにしてはあまりにもお粗末な扱いであった。

l 上映時間30分→15分→そして5分に追いやられる
時代の流れとともにドラえもんズなどの短編は、大長編ドラえもんの同時上映作品である以上、上映時間は避けて通れない壁であった。ドラミ映画と同様大長編との同時上映であったときはまだ映画と呼べる上映時間だったが、ある時からドラえもん映画は3作上映されるようになり、コメディ路線の強いドラえもんズは10~15分の上映時間にさせられ、やがてドラえもん映画はドラえもんズ映画→感動系リメイク作品→そして大長編という流れが定番となり、そして今作でとうとうたった5分にさせられ、同時上映の「ぼくの生まれた日」に時間も予算も持っていかれてしまった。
l サイレント映画にケチられる
ドラえもんズは豪華声優陣が揃っているのも特徴の一つで、今や国民的アニメだけでなく数多くの作品を任されるほどの林原めぐみさんや中尾隆聖さん、一龍齋貞友さん(今作では違う名前)、数多くのハリウッド俳優の吹替をなさる難波圭一さん、存在感のあるおじさまボイスの佐藤さん、そして数多くのドラ映画に出演経験のある常連桜井さんなどがコミカルなやりとりをするのもドラえもんズの楽しみなはずだったのに、あろうことかサイレント映画にさせられこれまでドラえもんズを演じていただいた方々の出演を丸ごとカット。悪役のドクターアチモフを演じてらっしゃる銀河万丈さんは大長編に出演されてはいるがほかの声優さんたちは最後の作品という意気込みすら与えられなかったため実質リストラとほぼ同じ扱いをさせられている。これは声優さんたちの仕事を奪う行為だととらえられても仕方がないように見えました。
l ドラえもんがいない。
仮にもドラえもんズという名前なのに、ドラえもんが一切登場しないしドラえもんがなぜここにいないのか明言されていない。これがはじめてではないけどその時はドラミが代わって活躍したりもしたけど、思えばこれまでのドラえもんズでのドラえもんは不遇すぎる。捕まって洗脳されたりそのまま殴られ伸びてる間に解決、ほかの仲間と同様に金ぴかにさせられ事件解決後みんなに踏みつけられる(わざとではないであろうが、わざとに見える光景。)、敵に狙われているものをもって窓から顔を出し抜けなくなるという醜態をさらされる、同窓会に行くつもりがどら焼きの食べ過ぎで妹が代わりに行く、そして今作のように未登場と、とてもリーダーとは思えないくらいの不遇っぷりである。いくらドラえもんに特徴がないからって・・・。
l キャラクターの改悪、設定の適当さ
そして最も罪深いのはドラえもんズのキャラ変である。王ドラ、エルマタドーラ、ドラリーニョはともかく、丸いボールを見ても変身しなくて丸っぽい扇風機で野獣に変身するドラニコフ、水中でシンクロするドラメッドⅢ世、高いところでも平気なドラザキッドと、話のテンポを重視しすぎて制作側の都合のいいようにドラえもんズの個性を無視している。他にもアチモフがキーボード型の装置で猫ふんじゃったを引くのだが、ピアノの鍵盤の位置が適当でむちゃくちゃ(一応どこを押してもそう鳴るピアノ、と解釈すればそれまでだが)なため音楽をかじっている者は気になる、サッカーで何をめぐって対決しているのか、この5分間の戦いが何を意味しているのかがわからない。

よい点
他にも書けばキリがないけど、もちろんいい点も存在します。頭を空っぽにして細かい設定を無視さえすれば予告の謳い文句にたがわないギャグに振り切った「ハチャメチャ楽しい5分間」であること。隙間時間に見れる作品であること。上述した気になる点も、視点を変えればドラえもんズの新たな一面を見れたと思えるところ。などなどギャグだと割り切れば問題なく見れる人も多いと思います。

とはいえこれが子供たちに人気のあったドラえもんズの最後の作品だと思うとなんだかお粗末な終わり方だと思ってなりません。

TAKE