SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者のレビュー・感想・評価
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理想的スケールアップ
案外他所でも触れてる人が少なくて驚いたんですが、まずはMIGHTY役の奥野瑛太さんすごくないですか?フリースタイルバトルのシーンとか相手のプロのラッパーさんと遜色ないように(素人の耳には)聞こえました。本職じゃないのに8mileばりのバトルシーンを見栄え良く成立させてるのは偉い。1だと彼のラップの腕前はよくわからなかったんですが、なんだMIGHTYやるじゃん!って思いました。あと彼がブロって言葉を発するる度に笑ってしまう。
本作では転落と逃亡を繰り返すMIGHTYと仲間と着実に夢に向かって前進するIKKU(市役所ライブのトラウマを語るシーンは大笑いしました)達を対象的に描いてるわけですが、この対比が本当にキツい。いや勿論IKKU達がわちゃわちゃやってるのは最高に笑えるんですが、その分MIGHTYの描写が見てて辛いという…。展開があまりにハードで驚きました。ここまでやる?みたいな。
でもだからこそ長回しのライブシーンで湧き上がる感情は言葉では表せない程。電灯の光に吸い寄せられる蛾のようにフラフラと征夷大SHO-GUNGのステージに向かって歩いて行く彼の後ろ姿。ステージを見上げ一瞬見せる喜びのような表情。その後のサングラスが取れた時の彼の眼光。MIGHTYの(IKKU風に言うと)HIP-HOPの遺伝子が生き返る瞬間…。
シリーズを通して周りの人に自分の熱を飛び火させ成長してきたIKKUのパワーが、これまでとは比にならないスケールの舞台で、これまでとは比にならない程落ち切った男の魂にまた火を着ける。これが続編!これこそがスケールアップ!それを過去最長過去最大人数の長回しで見せられたら圧倒されないわけがない。どれだけ考え、練習したのか想像もつかない。すごい。なんだこれは。
そして再会。最初は互いに素直に顔向けできないIKKUとMIGHTYが感情むき出しでラップをぶつけ合う様に、どかーんと大きなものを心に残された。多くの人が思うだろう「これで終わりか?」と。「えっ?これで終わり?」ではなく「まだ終わりじゃないだろ!!」というような気分。
ところで征夷大SHO-GUNGは本当に魅力的ですね。オーディションやバイトが終わった後の意気投合するところとか見てて幸せです。楽しそうで。眠り猫が好きです。
キャストもどの人も素晴らしいけど、個人的に驚いたのは美保純さん。こないだ見た作品では実在感溢れる介護施設の職員を演じていたのですが、こっちもハマってますね…笑
ひとまずシリーズはこれでおしまいみたいなことを聞きますが、また新たな彼らに会いたいと心から思います。(万人受けはしないと思うけど)多くの人に知ってもらいたい、自分の中で大切なシリーズです。レペゼンサイタマ。
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