「爽やかではない」おおかみこどもの雨と雪 kkkさんの映画レビュー(感想・評価)
爽やかではない
少し早い子供の自立を描いた作品だと思いました。ただ、人間よりもどちらかと言えば狼寄りなのかもしれません。
こういったサバサバした家族もいるのでしょうが、例えば雪が台風の日に母が迎えに来るといってこなかったとき、雪は何故母親の心配をしなかったのでしょうか。迎えに来る途中で事故にあったとかは考えなかったのでしょうか。これが雪もある意味この時点で狼として母の元を巣立ってるということなのかなと思いました。
雨のほうがわかりやすい巣立ちでしたが。
そう言った面で人間の視点から考えると少し悲しさを感じます。
特に村人に囲まれているので大丈夫でしょうが、残されたはなが心配でした。それまで一生懸命に父が残した子供たちを育て上げなければという緊張の糸みたいのがきれてしまっているので。
あとこの映画で少し不自然に思ったのは、引っ越したばかりのころ、家の修繕やそういったことに追われ、村人ともつながりがなく、車もないので買い物もろくにいけなかった時にどうやってあそこまで食欲旺盛な子供たちを育てていられたのかです。
この作品というか、この監督の映画は現実の土地を題材にしているのもあるのか妙な臨場感があります。特にその臨場感が物語の世界観というより現実感のようなものを感じます。サマーウォーズはそこまででもなかったのですが時をかける少女でもそれを感じました。
そのためこういった不自然なところがあると、普通のアニメだったアニメだからという理由で流せるのですが、この作品ではそれができないんですよね。いい意味で言ってるのですが。
なので全てではないにしろ、あまりに不自然に感じない程度にもう少し作り込みをしてほしかったです。
人によって無駄な景色描写が多いと言っている人がいましたが私にはとてもいい配分でしかもこの映画の世界観を出すのにとても良いと思います。
先にも書いたようにこの監督の映画は作品に引き込まれるものがあるので次回作にも期待したいです。
ただ、題にもかいたように監督の求める爽やかさはあまり感じずむしろ哀愁というかせつなさのようなものを感じました。なので見終わった後はちょっと鬱になりました。なのでもうすこしすっきりする爽やかな作品をお願いしたいです。(時をかける少女も最後は物悲しいものだったので)