「細田守監督の力」おおかみこどもの雨と雪 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
細田守監督の力
総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:80点|演出:90点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
狼人間という空想の話を持ってきておきながら、それを現実的な家族の話として愛情と人生の選択を上手に取り上げていた。夫のわずかな貯金もいつまでも続かないだろうし、家族の生活を母一人でどうやって支えたのか、助けてくれる大学の友人はいないのかというような突っ込みどころもある。でもそのようなところをばっさりと切り捨てて、描きたいところを集中して描いてくれるのは本筋がわかりやすい。事情のある特殊な子供ではあるけれども、結局は愛する我が子に惜しみない愛情を注ぐ母の姿と子供たちの成長、人生の岐路を美しく見て取れて、悲しみも含みながら幸せな気分にもなった。夫との出会い、子供たちとの関係も純粋な描き方で綺麗だった。
映像は、時々実写をコンピューターを使って取り入れたものをアニメ処理して使っているように思える。悪く言えば手抜きともいえるが、綺麗だし労力の節約にもなるので良くないことばかりでもない。それが良いのか悪いのか、このあたりの判断は難しい。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」と細田守監督の過去の作品を観てきて、今回のこの作品で彼の演出力の高さを確認できた。私はこの監督が気にいったし、今後の日本の映画界に大きな足跡を残す人となってもらえると期待しているし、今後の作品も楽しみだ。
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