「たまに暇な時見返そうと思える」おおかみこどもの雨と雪 acamumuさんの映画レビュー(感想・評価)
たまに暇な時見返そうと思える
想像していたものと少し違ったのでいい意味で楽しめました。
劇中に登場する様々な要素、描写に複合的な意味合いを感じますが現代社会に於けるあれやこれやっていうのは割愛しながら読み取ると、「母の生き様」という点を主題とした作品であると感じました。それは「花」「雪」「雨」という名前からも読み取る事が出来ます(考え過ぎか?とも思いましたが、まあそんくらい考えなきゃ映画とかつくれないっしょ)
設定としては「誰もがおおかみ」的な文脈を隠喩しているという解釈で間違いないかと思います。子供の人生は時として大人より過酷です。雪の「はやく大人(普通の人)になりたい」という台詞はそういった視点で見た時の子供の心情がせつなく表現されていてちょっと好きでした。
問題は「おおかみの子供産んじった!」っていう部分と「親子の成長のリアリティ」の調和のさせ方です。つまり、もしこんな事が現実にあったとしたらこんな風景があるよね?っていう描写。
極端な話この設定であれば生まれる前から子供達が子供を産むまで描ける部分はあるはずなのですが作中では雪が中学校進学するまでしか納めておらず、その中でも明らかに幼少時代の描写が執拗に施されています。嘔吐のシーンや授乳でちゃんと乳首も出すあたり、決して綺麗に描こうとはしていない意思を感じました。物語の焦点を「花」に合わせる意味もあったと思います。私的には「監督子供うまれたのかな?」って思いました。かと思えば「貯金だけであそこまでできるかよ!!」とか「そんな華奢な身体で畑仕事できねえだろ!!」とかツッコミどころも多々あって。うーん、つまり風景描写に偏りがあります。その辺は意見が分かれると思いますし、この作品に対してネガティブな感想を持っている方は描きすぎている箇所、ふわっとさせている場所が目についた、という意見が多いのかなとも思います。私は嫌いではないです。