「不倫、青春、不妊、貧困、自恃」ふがいない僕は空を見た 平一さんの映画レビュー(感想・評価)
不倫、青春、不妊、貧困、自恃
どうして逃げ出さないのかと思ってしまう。主人公の高校生の友人と違ってその環境を捨てることが出来るはずなのに。
予告編から見られるよう不意な事から関係を結ぶようになった高校生と人妻がその関係をばらされることにより日常が一度壊れかける、そんな話ではない。
わたしにとってむしろこの映画では主人公の高校生の友人が貧困に苦しむことの方が印象的だった。
お金がなく家を出た母の代わりに認知症を患う祖母の面倒見る。
働きながらも学校に通い、腹が空いているのにもかかわらず、友人の母親からの差し入れには手をつけない。
そんな細い糸一本でぎりぎり繋がっているようなプライドと食欲との葛藤の末におにぎりをがっつくシーンは心を締め付けられるような気持ちになった。
自分を産んだ母親に何故産んだのかと聞くという行為は共感し得ないだろう。
しかしこうした境遇にいる人たちはリアルに存在することは確かだ。
最後に窪田正孝ってすごい。彼の出る場面を待ってました。
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