「映画代金返して…」グスコーブドリの伝記 火気厳禁さんの映画レビュー(感想・評価)
映画代金返して…
※私は原作はまだ読んでおりません。
この映画は一体何を伝え、そして何をしたかったのでしょうか。
メッセージはほとんど込められておらず、ただただ作品に対する真摯さが欠けた映画だと感じました。なんとなくですけど。でも映像は綺麗でしたね。
最初はブドリとその明るい家族が描かれ、その後寒波に襲われ飢饉が起き作物は枯れ果て、家族も離散し…その後ブドリは1人になり、寒波や飢饉を防ぐ方法を勉強しに都会へ向かい、一生懸命勉強し、最後はブドリの故郷を暖かくするために命を捧げ火山を噴火させる。結果火山は噴火し気候は良くなりみんなは救われる、めでたしめでたし。こんな感じだったと思います。
なんだかもやもやとしたシーンだけ書き連ねて行きます。
寒波や飢饉で家族が離散してゆくときのブドリの父の言葉。「俺は森へ遊びに行くぞ!」何を言ってらっしゃるのでしょうかこのクソオヤジは。そして母親、お前も子供を見捨てて蒸発するんじゃない。その後ネリは謎の男に誘拐されましたが、多分これはネリの餓死を暗喩してるのでしょう。そして謎の男の笑い方が変。BGMもなんだか微妙にミスマッチ。
その後、ブドリが網をかけるシーンがあるのですがあのくだりは一体何だったのでしょうか。正直ポカーンとしてしまい、なんやかんやでうやむやに。映像は綺麗でした。
ブドリが赤ひげのもとで働くシーンはいいでしょう。でも妹はどうしたブドリよ。
途中魑魅魍魎に囲まれ電車に乗っているシーンもありましたが、あれはあの世へ行く電車だったのか?わかりませんが。どうでもいいですが、ここらへんから一緒に観に行った友人がスヤスヤと寝息をたてて、眠りの世界へ旅立ちました。
そしてブドリが大学→火山局で働くところ。ブドリは楽しそうに、そしてまじめに働くのですが、妹はどうした妹は。追いかけなくていいのかブドリ。と思ったのですが、もう妹が死んでることを理解していたのかもしれませんね。
でもその後、あの世での裁判で境界を乗り越えた罰だとかで裁かれる。境界乗り越えとったんかい。妹連れもどさんかい。そして裁かれた結果の罰が何だったのかわからずじまい。そもそも本当に裁かれたのかすら不明。
そして火山局にてブドリの故郷が寒波に襲われることを知り、気候を温めるため火山を噴火させる方法を考えるブドリ。現れる謎の男。ブドリを火山へ連れてゆくといい、おそらくブドリは火山へ身を投げたのでしょう。その結果火山は噴火し、気候は良くなり、みんなが助かり、そこで物語は終わります。ブドリが火山へ身を投げたシーンは明確には描かれておらず、なんだか綺麗な光がぱーっと飛び散って終わりました。そもそも人が身を投げただけで火山が噴火するとはどうも考えられませんが、そこはアニメですから野暮というものでしょうかね。美しい自己犠牲…と言えば聞こえはいいでしょうが、もしかして自己犠牲精神をこの映画を通して伝えたかったのでしょうか。それにしては身を投げるシーンをごまかしてるし、なんだかよくわかりませんね。映像は綺麗でしたよ。
小田和正の歌が流れエンディングへ。音楽の切り方、配置の仕方もなんだか変。欲を言えば、BGMは銀河鉄道の夜で担当してらした細野晴臣さんを起用して欲しかったです。
正直映像は綺麗でしたが、映画料金を払ってまで見るような作品では無いと思いました。
私はこの映画をおすすめしません。映像は綺麗でしたが。