タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツらのレビュー・感想・評価
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ブラックな笑いの中に光る確かな脚本力
《プレシディオ公式チャンネル》にて視聴。
【イントロダクション】
休暇で山小屋を訪れた男2人が、大学生グループから殺人鬼と勘違いされ、不運が重なって惨劇へと繋がっていくブラック・コメディ。
出演はタイラー・ラビン、アラン・テュディック、カトリーナ・ボウデン。
監督・脚本はイーライ・クレイグ。その他脚本にモーガン・ユルゲンソン。
【ストーリー】
とある廃墟を訪れた若者達。そこは、数日前に殺人事件があったとされる場所だった。突如、リポーター役の女性が暗闇から襲われ、カメラマン役の男性も殺害される。犯人が地面に落ちたカメラを持ち上げた瞬間、画面には顔の左半分に焼け爛れた傷痕のある男が映った。
田舎者の男2人組のタッカー(アラン・テュディック)とデイル(タイラー・ラビン)は、コツコツ貯めた貯金をはたいて山小屋の別荘を手に入れ、休暇で訪れに向かっていた。同じくキャンプに訪れていた大学生グループは、2人の強面で怪しげな雰囲気から、彼らを訝しむ。互いに途中のガソリンスタンドに立ち寄った際、デイルはタッカーに大学生グループの女性陣に声を掛けるよう後押しされ、挙動不審になりつつ声を掛ける。しかし、大学生グループはその様子からデイルを不審者だと勘違いして、早々に立ち去ってしまう。
気を取り直して山小屋の別荘に辿り着いたタッカー達は、ボロボロで修理こそ必要だが、「ようやく夢の別荘を手に入れられた」と感動し、掃除と修理を始める。
一方、大学生グループはキャンプファイヤーの際、リーダー格のチャド(ジェシー・モス)が20年前にこの山中で起きた大学生グループの惨殺事件について語る。その場の空気に耐えかねた仲間達は、湖に泳ぎに行く。
タッカー達は、夜釣りでボートに乗って湖を訪れていた。湖には大学生グループも訪れており、互いに干渉せずそれぞれが楽しい一時を過ごしていた。そんな中、大学生グループのアリソン(カトリーナ・ボウデン)が泳ぐ準備をしていた際、デイルの声に驚いて湖に落ちてしまう。慌ててアリソンを救助した2人だったが、その様子を遠くから見ていた仲間達は、彼女が殺人鬼に攫われたと勘違いして恐怖から逃げ去ってしまう。
翌朝、山小屋で意識を取り戻したアリソンは、デイルの心優しい性格を理解し、誤解を解いていく。大学生グループはチャドを中心に「アリソンが攫われた」と勘違いし、救出しようとタッカー達の山小屋を襲撃に訪れる。しかし、不運が重なって大学生グループは倒木の枝に串刺しになったり、ウッドチッパーに巻き込まれて上半身が粉砕されたりと、次々と事故死してしまう。
タッカー達は大学生グループの事故死を「集団自殺」と勘違いし、警察に自分達が殺人の容疑に問われる事を恐れ、遺体を処理しようとする。そうしてボタンの掛け違えが重なり、事態はドンドン悪い方向へと加速していく。
【感想】
90分弱というコンパクトな尺の中で、景気の良い残酷描写が次々と炸裂し、テンポ良く話が展開されていく。
作品の根底にある“勘違い”によって事態が悪化していく様子は、現実にも通じる要素であり侮れない。アリソンが語る「現代社会の問題はコミュニケーション不足だ」という主張は本作の本質であり、大学生グループはチャドを中心にまるで物語の主人公であるが如く「自分達は正しい」という思い上がりと、「仲間を攫われた」という被害者意識によって誤った認識を深めていく。その姿はまるで、片方の主張だけを信じて容易に他者を攻撃する現代のネット社会のよう。相手を知ろうとしない姿勢が、悲劇の連鎖に繋がっていくのだ。
タッカーとデイルの運の悪さが面白く、登場人物の殆どが犠牲になっているにも拘らず、実はこの2人は作中誰1人として殺していない。勘違いから次々と自滅していく大学生達を前に、「コイツら集団自殺しようとしてる!」と、更に勘違いが加速していくブラックさが笑える。また、残酷描写の力の入り具合が素晴らしく、かなりグロテスクなはずなのだが、先述した要素がそれを上回り、コメディとして成立させている塩梅が絶妙である。
デイルの自己評価の低さや奥手な性格からくる野獣感が、アリソンの真面目で優しい性格と化学反応を起こし、ホラー版「美女と野獣」とでも言うべき雰囲気を醸し出しているのも魅力だ。
チャドが自ら招いた小屋の爆発により、左の顔面に火傷を負う。それによって、冒頭の若者達が顔に焼け爛れた傷のある殺人鬼に襲われる映像の意味が理解出来るという粋な作りが好印象。クライマックスでのデイルとの死闘の末、彼が祖母から聞かされてきた“20年前の大虐殺事件”についての意外な真相が判明するというのも、くだらなさの中に確かな脚本力が見て取れる。
また、ラストはデールとアリソンのロマンスが結実するという、彼らに感情移入した観客にとっては後味良きハッピーエンドなのだが、冒頭の映像を思い返す事で「殺人鬼は未だ生き残って、犠牲者を増やし続けている」というホラー映画らしい“恐怖”が思い起こされ、あの世界にとってはバッドエンドでもあるという作りも素晴らしい。
【総評】
コンパクトな尺でテンポ良く展開されるストーリー。ブラックな笑いの中にも確かな脚本力とメッセージ性の光る痛快な一作。
出演者やスタッフがその後目立った活躍をしていないのが信じられないくらい、確かな魅力と実力を兼ね備えた名作と言えるだろう。
おもしろかった
シュールなホラーコメディ、と思いきや
爆笑ホラー
人にオススメしたい
【”人は見かけで判断してはいけないね!”気の良いおじさんタッカーとデイルの2人がいつの間にか血みどろの惨劇に巻き込まれるホラーコメディ 】
■仲良し田舎暮らしの中年2人組・タッカーとデイルは、念願だった別荘で休暇を過ごすため森へとやってくる。
だが2人は近所でキャンプをしていた生意気な大学生グループに殺人鬼と勘違いされてしまう。
さらに川で溺れかけた女子大生を助けたことが一層の誤解を招く。
◆感想
・ホラー・コメディというジャンルがあるんだという驚きを感じた作品である。
・凶悪な殺人鬼と間違われた中年男たちタッカーとデイルの周囲で、誤解が誤解を呼び大学生たちが勝手に死にまくる。
- ハッキリ言って、大学生たちはおバカである。
だが、二人に助けられたアリソンだけは二人の善良さに気付いて行くのである。
そして、彼女とそれまで女性とのデートの経験がないデイルがアリソンとボウリング場でデートするシーン。-
<大学生のリーダー格のチャドの父親の忌まわしき過去なども描かれるのであるが、今作はあんまり深く考えずに、軽ーい気持ちで観たい映画である。>
ホラーとコメディの親和性の高さ
映画はほんと、こういうのでいいんだよ。こういうので。めっちゃ面白い
B級ホラーコメディって感じだけど、ストーリーがアンジャッシュのすれ違いコントみたいな構成で見てて飽きず、「次はどんな展開だろう?」と常にワクワクしながら観られる映画としてはこれ以上ない出来。
ハッピーデスデイやゾンビランドでも思ったけど、本当にホラーとコメディの親和性は高いなぁと
ただ、まぁそのすれ違いコント的な面を強める為にストーリーに若干の無理が生じてる部分はあるけど、その無理が生じてる部分は制作陣の力量不足って訳ではなく、むしろ全て分かった上での"それ込みでコメディとして見てね"という部分なのでこれが評価を下げる要因にはならないかな
ホラー要素、そしてコメディ要素のバランスを崩すことなくメッセージ性をスッと嫌味なく提供してくれるところもとってもイイ!よくある気持ち悪いメッセージ性にまみれたクソしょーもない映画より、クソしょーもない映画に挟まれたこういうメッセージ性の方がよっぽど伝わる皮肉。
皮肉と言えばあの陽キャの最期もなかなか皮肉だったね。ネタバレなしだから細かくは書かないけど。ちゃんとそのあたり、秀逸な伏線回収とまではいかないけど伏線を散りばめたりもしてるあたり映画としての完成度の高さが垣間見れるよね。
ただ、まぁハリウッド映画のような美麗グラフィックでド迫力映像!とか、そういう作品ではないので映像面やBGMの面では評価落としちゃってるかな。個人的には大好きだし、何回も繰り返し観れるタイプの映画のストックが増えて満足してる
脚本・ストーリー……7点
映像・演出……4点
BGM……3点
演技・キャスティング……8点
個人的な好み……15点
合計……37/60で星3.5
最高に笑えるスプラッター・コメディ
2012年(カナダ)有名スターはひとりも出ません。
実はこの映画、「王様のブランチ」で夏休みにオススメの映画で紹介されたのです。
騙されたと思って観たら、すごく大当たりでした。
むさ苦しいおデブのデイルと世話焼きの親友タッカー。
山に念願の別荘を手に入れて休暇を楽しむ予定だ。
と、途中のドラッグストアで大学生の8人組の男女と出会す。
女の子に話しかけたデイルは、見た目から不審者と思われて、大学生は
そそくさと逃げるように車に乗る。
夜、川で夜釣りを楽しむタッカーとデイル。
岩場から飛び込んだ大学生の一人アリソンが驚いて岩に激突して失神する。
助けてボートに乗せたタッカーとデイルはを目撃した大学生はてっきりアリソンが誘拐されたと誤解する。
勘違いと行き違いの面白さです。
展開が速い上に大学生の一人がサイコ野郎なのも盛り上がる!!
大学生がひとり、また一人と勝手に酷い死に方をします。
(チェーンソーに巻き込まれたり、太い木の枝に串刺しになったり・・・)
助けに来た警官も、こういう映画で定番のミイラ取りがミイラになる展開。
もうはちゃめちゃな殺し合いに発展するんだけど・・・
風采の上がらないデイルが実に心優しい男性で、助けられるアリソンもその優しさを理解するセラピストの卵。
スプラッターなのに気持ち良いラストは、アリソンとデイルが心を通わせるラブ・スプラッター映画だからこそですね。
騙されたと思ってご覧下さいね。
これは面白い
実はこの日、娘さんの卒園式があったんですね。
何だかぽっかりとした感じだったので、湿っぽい気分にならないようなのが観たかったんですよ。
プライムをめくっていたら目に止まったのがこちら。そういえばこんな作品あったな…と鑑賞。
そんな心持ちで観始めたのですが、始まって3分で「これは面白い」となりました。
チェーンソーにウッドチッパーなどのアイテムの使い方もうまく、蜂に刺された顔が途中きれいになっていたり「はらわた」を思わせる適当さもありました。(作中で映画ネタが色々出ますが…まさかわざと?)
まぁとにかくすっごいテンポが良いです。
ややゴアな描写はあるものの、極めて爽快。随所にホラーのベーシックなパーツを散りばめてて本当飽きさせません。
ブラックコメディで随所に笑どころもあり、見終わる頃には寂しさなんて忘れてましたよ。
観たのがこんな日だからか、何だか思い出に残る作品になっちゃいました。
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