「スプラッターホラー愛にあふれた作品」タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら レントさんの映画レビュー(感想・評価)
スプラッターホラー愛にあふれた作品
いわゆる70年代から80年代にかけて作られた若者たちがキャンプ場で次々とシリアルキラーに襲われる系のスプラッターホラー映画にオマージュを捧げた作品。
オープニングのシーンからして「悪魔のいけにえ」のリメイクである「テキサスチェーンソー」の冒頭シーンをそのままやってます。
全体的にはコメディタッチの軽いトーンの作品なのに意外にもスプラッターシーンはかなりの力の入れようで油断してると驚かされます。
定番のパターンの逆手を取りシリアルキラー目線で物語が展開してゆく。二人のシリアルキラータッカーとデイルは地元で幼馴染として育ちいつも一緒だった。
そんな二人は購入した別荘で念願の休暇を過ごそうとしていたところに都会から若者たちがバカンスに訪れる。
タッカーとデイルは生まれながらのシリアルキラーの才能があるのか。彼らが望まないのに若者たちが彼らの目の前で次々と無残な死を遂げていく。
まるで誘蛾灯に引き寄せられる蛾のように若者たちは彼らに近づいては死んでいく。タッカーが木材を粉砕機にかけていたら若者がその機械に飛び込んだり、デイルがトイレのための穴を掘っていたらその穴に飛び込み串刺しになったり。
その光景を見た若者たちのリーダー格のチャドは自分の忌まわしい過去を思い出す。かつてこの地にはシリアルキラーがいて多くの若者が犠牲になったのだと。そして彼の両親もその犠牲者であった。
恐らくタッカーとデイルはそのシリアルキラーの子孫に違いない。復讐の炎が燃え上がったチャドはいつしか彼自身が危険な存在に。まさにミイラ取りがミイラ。実は彼こそがシリアルキラーの忘れ形見であった。そしてタッカーとデイルはシリアルキラーでも何でもないただの田舎人だった。
広大なアメリカの大地。都会と田舎に住む者たちの価値観はこうも違うのか。ちょっとした誤解や勘違いからもつれた糸はこんがらがってもはや収拾がつかぬ有様に。若者たちはタッカーたちがシリアルキラーだと思い込み彼らを倒そうとするが逆に返り討ちに会い次々と死んでいく。いや、返り討ちではなく単にそのあまりの間抜けさから自滅してるだけだった。
気のいい主人公コンビがシリアルキラーと間違われて騒動が巻き起こる内容と聞いて見始めたら思った通りの展開。少々脚本が甘いけどなかなか楽しめた。
やはり、偏見で人を見てはいけない。都会人だろうが田舎人だろうが、まずは先入観を無くして付き合わなければね。アメリカ南部の田舎町は質悪いという印象を与えた「悪魔のいけにえ」はほんと罪深いな。