劇場公開日 2012年12月15日

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グッモーエビアン! : インタビュー

2012年12月14日更新
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麻生久美子&大泉洋、親になったからこそ共感できる「グッモーエビアン!」

麻生久美子大泉洋が初共演する「グッモーエビアン!」は、生き方は人それぞれ、幸せの在り方もさまざま、相手を思いやれる愛があればそれが絆になる──という、家族とは何かを描いたファミリームービー。かつてはパンクバンドのギタリストで17歳のときに娘を産んだアキ、その娘ハツキ、バンドのボーカルでハツキが生まれる前からアキと一緒に暮らすヤグ。そんなロック感あふれるちょっと変わった家族の姿に、主演の麻生と大泉は大きく共感。その魅力を語った。(取材・文/新谷里映、写真/堀弥生)

「この家族は血のつながりはないですけど、それ以上にすごく絆がある」と説明するのは、アキを演じた麻生。「ヤグは本当の父親じゃないけれど、すごくハツキのことを思っているのが伝わってきて、二人はちょっと似ているんじゃないかなって。家族にはいろんな形があるもの。でも、思い合っていればどんな形でもいい家族になれる、一緒にいる時間が家族を作っていくのかなと思うんですよね」。その言葉に、大泉も大きくうなずく。「悩む時もあると思うけれど、互いに愛情があれば、必ず分かりあえる時がくるはずだと思う。アキもヤグも自由に生きてきた人間だけれど、アキがハツキに対して言う“あんたの将来はあんたが決めればいいんだから”というのは、僕もそうありたいなって思いましたね。親がこうなって欲しいという願いはあるにしても、それを押しつけてもしょうがないし。好きに生きられるように育ててあげるのは親の使命。そういった意味でもこの3人はすごくいい家族ですよね」。この言葉に、今度は麻生がうなずく。なんだかこのコンビ、とても相性がいい。というのも、麻生は今年5月に出産したばかり、大泉も1歳の娘を持つ父親。最近、親になったことも少なからず役に影響しているのだろう。しかも麻生にいたっては、妊娠4カ月の時期に本作の撮影に参加、「おなかにいるときに撮ったのはこの映画だけなので、いつか大きくなったら見せてあげたい」と、その表情は何ともやわらかい。

もちろん、そんなふうに温かな眼差(まなざ)しを向けられるのは、アキとヤグというキャラクターに魅力があったからこそ。それぞれどんな部分にひかれたのだろうか。女性の目線で麻生がヤグを語る。「ヤグの魅力は、いつまでも少年らしさが残っているというか、成長はしているけれど、大切な部分を失わずにいる人。そういうところにアキはひかれているんじゃないかなって。やりたいことをやっている人は、やっぱりそばで見ていたくなりますよね。私はアキほど心が広くないのでアキのようには応援はできないかもしれないけれど(苦笑)、ヤグはほんとに真っすぐな人。出会ったら普通に好きになっちゃうと思います」

続けて、大泉が男性の目線でアキを語る。「非常に魅力的ですよね。誰もがあこがれる女性だと思います。潔さや格好良さのある反面、弱さも見せてくれるじゃないですか。男にしてみたらたまらないですよ。酔っ払って寝ちゃうところとかかわいいですよね。あと、僕自身が家族を持って、娘が生まれたときの幸せが大きかったので、(アキとハツキを見ながら)娘にはいい家庭を持ってもらえたらいいな、と思いました。そのためには“いい男”をつかまえられる賢い女性になってほしい!」と、父親の顔を見せる。では、娘がヤグみたいな男性を連れてきたら? その問いに2人は「絶対ダメ!」「猛反対!」と声をあわせる。自由な生き方はあこがれるけれど、親の立場としては、働かない男はNGと意見が一致する。

また、大泉は早くも「孫の顔が見たい」と夢を膨らませる。「娘の名前を決めるとき、恋愛運のいい名前というのを念頭に考えたんです。世の中の父親の多くは、娘がどんな男性を連れてきてもダメと言うかもしれないけれど、僕は孫がみたいんです。だから早く結婚をして子供を産んでほしい。だって、孫を見る自分の親の顔があまりにも幸せで、あんな顔これまで見たことがないんですよ。僕もその幸せを経験してみたくなったんです(笑)」

物語は、海外放浪の旅に出ていたヤグがアキとハツキのもとへ戻ってくるところから始まる。中学3年の思春期のハツキを中心に、どの家庭にもある親子のぶつかり合い、ケンカ、どれだけ愛し愛されているのかが描かれるわけだが、麻生と大泉の息がぴったり合っているだけでなく、ハツキを加えた親子3人の雰囲気が素晴らしい。本物と思える家族を描くことができたのは、「家族の話で優しい映画を撮りたい」とメガホンを取った山本透監督の人柄も大きく反映している。「さくらん」(07)、「ジャージの二人」(08)、「ヘブンズ・ドア」(09)、「アンフェアthe answer」(11)などの助監督を務め上げ、2008年には「キズモモ。」で長編映画監督デビューを飾っている山本監督。3人の子どもの父であり、自身もロックバンドの経験者でもあり、そういう点からも「グッモーエビアン!」は打ってつけだった。

山本監督からラブコールを受けた麻生と大泉は、パンクバンドのギタリストとして、ボーカルとしてステージに立つという挑戦もあり、撮影前に監督から送られてきたというライブ映像を参考に、各々準備を重ねていった。ギター経験のまったくない麻生は、その映像を見た瞬間に「無理!」とハードルの高さに戸惑ったそうだが、「できるだけその雰囲気に近づけたらいいなと思いつつ、私の場合はまず弾けるようにならないと! というのが大前提でした……」と苦笑い。約3カ月前から練習に励み、撮影当日は(つわりで体調が絶不調にもかかわらず)クールなギタリストのアキとしてステージに降り立った。

アキの隣でバンドの顔としてパンク特有のジャンプと歌声を披露した大泉は、そのシーンでこの映画のセリフの素晴らしさに気づかされたとふり返る。「普通は、このセリフちょっと言いにくいな、日常では言わないよなっていうのが多少あるものなんですが、今回の脚本はとにかくセリフが素晴らしくて、監督のセリフ回しも上手くて。アドリブはごく一部なんです。特に、ラストシーンのステージでヤグがハツキに言うセリフ──“でも、大丈夫。ずっと見てたもんね”の“見てたもんね”がすごく印象的で。ふつうなら“ずっと見てきたから”とかになりそうなのに“見てたもんね”っていう、そういう言い回しが上手な方でした」

アキとヤグとハツキ、ちょっぴり変わってはいるけれど、誰よりもお互いを思い合っている3人の何気ない会話に、幾度となくグッとさせられることだろう。そして、彼らの“ロックな”生き方から見えてくるのは、自分らしい幸せって何だろう、という問いかけ。自分の家族との思い出に浸ったり、未来の家族に夢を抱いたり……。「グッモーエビアン!」は、心をほっこりさせてくれる、小さいけれど大きな気づきを与えてくれる映画だ。

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