劇場公開日 2012年5月19日

  • 予告編を見る

「アラフォーのツボを突いた演出の数々」サニー 永遠の仲間たち よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アラフォーのツボを突いた演出の数々

2014年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

 「怪しい彼女」が面白かったので、同じシム・ウンギョン主演のこの作品を借りて観た。
 シンディー・ローパー、「ラ・ブーム」、韓国の民主化運動、「ロッキーⅣ」など80年代に青春を過ごした世代には懐かしい思い出が蘇る。
 映画は過去と現在を行きつ戻りつする。しかし、そのつなぎ目となる部分の演出が上手く、まったくストレスを感じないまま登場人物の時間旅行に付き合える。登場人物の持ち物、動線、視線、身体の向きを非常に自然に次のシーンへと繋げている。
 過去を振り返る話には、その過去を引きずっているものと、忘れかけていた過去へさかのぼっていくものがある。この作品は後者である。たとえ現在の境遇が恵まれていなくても、記憶をたどって会いに行きたくなる人々の思い出があれば、人生は捨てたものではない。逆に何不自由のない生活を送っていても、死を目の前にして求めることは、輝いていた過去をもう一度体験すること。そうした過去を持っていることの幸せが良く伝わってくる。
 ちょっと行き過ぎた演出もあるが、笑いでひきつけてほろりとさせる。しかし、消化不良気味の終わり方。結局問題解決の方法がお金だっということ。そして、一番かわいいスジが、事件の後どこでどうしていたのかは映画では明らかにされなかったこと。元気そうな顔を見せに来てくれた。それだけで十分なのはもちろん分かるが、スジのドラマを語って欲しかった。

佐分 利信