「今年NO1の名作!是非観て欲しい!」別離(2011) Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
今年NO1の名作!是非観て欲しい!
今年の上半期観た映画の中で1番面白い映画だった!
今年とは限定せずに、私の映画観賞歴の中でも、絶対にこの作品は上位にランキングする作品です!
私の下手なレビューは読まなくても、これこそ、素直に観て欲しい作品だ
その面白さの秘密とは、観て頂ければ誰でも納得される事だと思う。
本作は、今では一見して誰の家庭でも起こり得る、平凡な中年夫婦の離婚話しが事の始まりの映画だ。
離婚の申し立てを家裁へ申請する所から映画の物語は始まるのだ。しかしこの夫妻のケースでは、有り触れた離婚劇である筈の家族のドラマが、まるでミステリー小説を読んでいる様な感じでグイグイと物語の中へと、どんどん惹き込まれて行ってしまうのだ。
そして悪気が有る訳でも無い妻シミンは一人娘の将来を考えて海外移住計画を準備していたが、夫のナテルは父親が認知症を患ってしまう事から、国外へは行けないと主張し、父であるナテルの同意無くしては、母親と娘だけでは、国外移住は認められないと言うから、大変ややっこしい大問題へと発展して行ってしまうのだ。この家族の誰もそれ程悪人でも無く、極一般的な平凡な人達なのだ。そして私達の様な普通の人間が何の気無しに、嘘を言ってしまう、嘘と言うよりは、あえて言葉に出さないと言う事で、嘘では無いが真実を隠してしま事も有ったりするのだ。
この映画の登場人物のそれぞれみんなが、人を傷つける悪意は決して無いのだが、少しずつだけ真実を告げない事で、大きな結果の違いを産んで行ってしまうと言う、あの「バタフライ現象」が起きて、その結果は誰も予測出来ない結末へと向かって行く物語だ。
文句無くこの作品の脚本は絶品である!観客の目を惹きつける。
そしてこの夫妻の一人娘テルメー役を演じているのは、この作品の脚本と製作と監督を務めるアスガー・ファルハディーの実の娘のサリナ・ファルハディーだ。
この作品が彼女のスクリーンデビュー作を言う事だが、この難しい役処を巧く演じているのは、流石この監督の娘だけあって才能を受け継いでいるのだろう!
そして、この映画のラストの終わり方がまた素晴らしい!是非あなたの目で確かめて欲しい!
アカデミー賞を獲得した離婚劇の「クレイマー・クレイマー」や、「家族戦争」などの作品がハリウッドでは、かつてあったが、到底この「別離」には及ばない作品なのだ。
今年のアカデミー賞の外国映画賞を獲得したのも納得のいく作品だ!
私はまだ残念な事にこの監督が創られた作品は今回が初めてだが、今迄の作品も是非観て見たいと思う!アラブ圏の映画は日本では余り観る事が出来ないが、良い作品は事の他多いのだ!ハリウッド映画の様な特撮を駆使した様なハデな作品は少ないかも知れないが、しかし人間の心理に根差した、そして宗教の倫理も相まって見事な見せ場の有る堂々とした作品が一杯だ!あなたにも、是非観て欲しい映画だ!