劇場公開日 2022年7月22日

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「本当に救いようがない内容なのだけど、これが許されるのが日本。」セルビアン・フィルム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5本当に救いようがない内容なのだけど、これが許されるのが日本。

2022年7月22日
PCから投稿

今年214本目(合計490本目/今月(2022年7月度)26本目)。

公式サイトなど「多数の国で上映禁止、修正を余儀なくされ…」をどこまで真実ととるかは微妙ですが、この描写のレベル(アダルト9割、残酷な描写1割、程度)になると、まぁある程度商用のために「脚色」はしているのだと思いますが、表現の自由が発達していない国では、この映画のレベルになるとありうるのかな…という印象です。

本当にもう見るに堪えないし(今日7/22、4Kリマスター版を見てきましたが、リマスター版のために残酷度はアップしている?)、ストーリーというストーリーは存在しても大半アダルトシーンなので(ただし、モザイク表現はないように工夫はされてます)、正直感想を書きましょうというか、書けないというか、この映画、私が見たときも「脱落者」が3~4割いたほどでしたので、やはりちょっと「きついかな」…という印象です。

一応、映倫の基準はR18ですが、日本ではG指定を含めて4指定区分しかないためこうなっているのであり、もう誤解を恐れずにいうとR30ですか?というような状況です。R18だからって18歳の子が見に行くのはちょっとこれはきついです。

で、他の方が書かれている通り、評価サイトその他でもこれは本当に「1」(に相当する評価)を「つけさせる」のを想定しているのだろうと思います。「これがセルビアの文化なんだ」といった発言など含めてです。「その意味で」このような評価サイトでは「まともな評価」がしにくい状態になり(映画作者の意図をくみ取れば、平均1.5などになっても不思議ではない)、正直、こういうサイトの想定する範疇を超えているんだろうな…という印象です。

 正直なところ、かなりの部分で「見るに堪えない」部分はあります。正直、これを全部まともに見ると数日は精神に来るんじゃないか…というレベルです。

ただ、日本をはじめとする先進国、特に日本は敗戦の歴史を踏まえ、「表現・言論の自由」「営業の自由」は最大限に尊重され、それは映画にも該当します。「表現・言論の自由」は日本の憲法が要請する諸権利の中でも、もっとも上位に位置づけられるものである一方、それを奇貨として誹謗中傷・極端なわいせつ表現にあたるものは規制されるのであり、日本はその部分は比較的初期の段階で判例や常識論が定まり、今現在にいたります。

すると、「見るに堪えないとんでもない映画」ではあっても、それも含めて映倫が区分分けして、「できるだけ表現の自由を尊重して、映画として見られるものは見せるようにする」というのが今の日本の姿であり、この映画においてはその日本の今の「表現・言論の自由の発達、尊重の重要さ」が強く意識され、要請されることが「ごく当たり前」である中で、ここまで極端な映画が公開され、また視た人も(罵詈雑言にわたらない限りにおいて)評価できるし、そのような評価サイトも存在する、ということにつきます。

換言すると、「ここまで極端に異様で見るに堪えない映画が日本で公開され、何も言われずに見たい人は普通に見られるし、何も言われないし、(罵詈雑言にわたらない限り)評価するのも自由」という日本の今の憲法で見ることができるに過ぎない、という点には注意する必要はあるかな…というところです(その意味で、ごく若干、憲法的な議論もありうるのかな…というのが見方です)。

正直なところ、もうこの映画、評価不可能に近いんじゃないか…というところです。確かに描くもの全てが醜悪であり、それは公式がそう評価してほしいのだろうというところはわかるからです(だから、その意味において何ら作者の思想が感じられない「大怪獣~」などとは異なる)。

間違っても「R18のホラー映画」だから「ちょっと涼しみに行こう」かなというレベルではないし、女性の方には結構きついです(性表現の大半)。また、現在はミニシアター中心のようですが、ポテトだチキンだ食べている状況でもない、ということは強く書いておきます。実際のところ「100分近いこの映画を最後まで見るか見ないか」という作者との「根気比べ」という様相が強いです。

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(減点0.3) とはいえ、やはり「一般的なホラー映画、性描写が強い映画」というカテゴリのR18というのを覚悟してもやはりきついのは事実で、それは元映画がそうである以上仕方がないにせよ、人によっては吐いたりということも考えられるレベルで、もうちょっと公式サイトも「どの程度までグロいのか」という点は書けなかったのか…という気はします。

ただこれも含めて「表現・言論の自由」なのであり、「エログロはそう書かないとダメなんだ」というように強く持っていくと一種の検閲にあたりうる行為であり、正直これだけで1.0も2.0も引けないのは当然のことであり、「「「人を選んで」適正に見てもらう分において」配慮が足りないかな(情報発信不足)」という点にとどまります。
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yukispica