「(フロイト×ユング)÷ザビーナ+クローネンバーグ」危険なメソッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
(フロイト×ユング)÷ザビーナ+クローネンバーグ
精神分析の礎を築いたカール・グスタフ・ユングとジークムント・フロイト、そして彼らの功績の影に居た一人の女性患者の史実を描いたデヴィッド・クローネンバーグ監督作。
フロイトとユングも大変有名な人物らしく、確かに名前は聞いた事もある気がするが、詳しくは知らず。
なので、ほとんど予備知識ナシの真っ白な気分で、興味本位も兼ねての鑑賞。
フロイトが発案したのが、“談話療法”。
対話によって、心の奥底に眠る感情を引き出す。
よく色んな映画で、精神科に通う登場人物がソファなんかに寝そべって語る、アレ(だと思う)。
ユングがこの療法を用い、女性患者ザビーナの心の奥底のトラウマに迫る事に成功する。
が、医師と患者の一線を越え、親密な関係になってしまう…。
欲と罪悪感、師弟関係と友情の亀裂…葛藤する複雑な感情をあぶり出す。
異色作の多いクローネンバーグ作品の中で、また別の意味で異色の淡々とした史実ドラマ。
しかし、人間の心の暗部に迫る辺りは、やはりクローネンバーグの作風。
ユングをマイケル・ファスベンダー、フロイトをヴィゴ・モーテンセン、それぞれ巧演。
そして、二人の関係に波紋を投げかけるヒステリー患者をキーラ・ナイトレイ。
女優生命を崩壊しかねない変顔、キ○ガイ演技は衝撃的であると同時に、天晴れ!
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