「想像の幅が広がる。」アーティスト ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
想像の幅が広がる。
凄い良かったです。
つか、楽しめて感動も出来たってコトに結構ホッとしたりもしてます。
ほら、何ていうんですかね。こういう映画って結構プレッシャーじゃないですか?
観る側のインテリジェンスを試される、みたいな。
アカデミー5部門獲得して批評家はこぞって絶賛の嵐。しかも白黒のサイレント映画。
「もし楽しめなかったらどうしよう?」
「もし楽しめなくて、その手の発言して『ハイハイ批判かましてる俺カッケーアピールね』みたいに取られたらどうしよう?」
みたいなの。
え?ありませんか?自分だけですかそうですか。
いや、で、実際その手の心配は杞憂だったんですけども。
格調高くもなく難解でもなく別に気取ってない。
下手に白黒サイレントだと構えてたのがバカらしいぐらい。
で、批評する際に、敢えてというか、こう“饒舌”とか“芳醇”とか、その類の言葉で称賛したくないな、ていう風に思ったんですね。
やっぱり自分は、映画は声やSEがあった方が好きですよ。
でもこの映画ってその要素排除した分、想像の幅が広がりますよね。字幕出してこないシーンでも登場人物達が何言ってるか分かる気がします。
彼らの仕草、表情に集中出来るっていうか。
それに完全な純然たるサイレントに仕上げてる訳でもないし。それを逆手に取った小ネタなんかチョイチョイ挟んで来ますしね。
というか、この映画自体が別にサイレント至上主義を謳ってるんでも、トーキー否定してるんでもなく、どっちも迎合してますよ、て姿勢に感じて。
そのスタンスにも共感が持てたなあ。
これからこういう映画もっと増えてもいいと思いますね。
この手法で以って現代劇を撮っても面白いんじゃないかと。
いやあ、堪能しました。
それと、あ、うん。犬が可愛かったです。