「斬新」アリラン 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新
2020年12月、まさかコロナでキム・ギドク監督が亡くなるとは、未だに信じたくないです。今作は初めて観ましたが、ありのままの自分とそれに対峙するもう一人の自分、その二人を俯瞰する第三の視点が交錯し、ギドク監督ならではの斬新かつ衝撃的な内容でした。「悲夢」(07)における事故のことはよく知らなかったのですが、命や人間の尊厳を描いてきた監督ゆえにその苦悩は深く、痛々しいものだったように思えました。ギドク監督作品は、観ていて心地よいものというのはなく、寒色系の寒々した感覚になるのですが、一方でオブラートに包まれてない濁りのない透明度を感じます。「嘆きのピエタ」(12)がこの3年間の隠遁生活のあとで作られたことも納得でした。
コメントする