「非常に良い」アルゴ 病気の犬さんの映画レビュー(感想・評価)
非常に良い
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親友のマットデイモンに随分と遅れを取ったが、出てくる人間はやはり出てくるモノなのだろう。『ザ タウン』にも驚かされたが、この作品は輪をかけて良い。
この映画の肝は壮大な騙しの罠を仕掛ける物語であるが、最後にモノをいったのは仲間の信頼であるという矛盾。真実と嘘が混ざり合いの駆け引きが物語を牽引している。嘘を突き通すために味方の信頼が必須という、このアンバランスが物語をとてもスリリングにしている。さらに全てを嘘にしてしまうようなラストとさらに後に真実が暴かれるという結末。お見事です。
どこからどう見ても力づくの突破は無理であろう、被害者達と頼りがいのありそうなエージェントの対比や彼らと地元の軍人の駆け引きの対比は、それぞれの利益の対立として飽きの来ない構造である。
息の詰る展開は実は序盤の大使館襲撃シーンとその後の脅迫のシーンにより、より危機感が迫って感じられる。実に周到な作品といえるだろう。またその危機の中の大使館員を救うためのCIA内の駆け引きもまた面白い。責任を重視したいもの、生存を重視したいもの非常にリアルな人間関係の構図が物語をよりリアルに見せている。
この映画が巧いのはそこでリアルにするのではなく、リアルっぽくしている点、わざとらしい嘘を混ぜることで細かな嘘を本当にしている。
実際はこのようにスリリングな展開ではなかったのだろうが、このくらいの嘘は許容できないと映画は楽しめないでしょう。
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