「倒錯した「劇中劇」」アルゴ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
倒錯した「劇中劇」
政変の犠牲になった駐在大使を救う使命を帯びて、一見バカバカしいとしか思えない作戦を大真面目に遂行していくCIAエージェント。
その作戦とは、映画のロケハンに見せかけて彼らをスタッフになりすまさせ、国外に脱出するというもの。
こんなことが、本当に実行されたというのだから驚きだ。
映画は、ご存知の通り、高い評価を受けているので揺るぎないものに違いないが、個人的にはもう少し掘り下げて欲しかった。
例えば、なぜアメリカ人は処刑の対象になってしまうのか、拘束された6人はどういう立場で、なぜ動くことができないのか、そして、誰が(なにものが)彼らを追うのか。など、なんとなくぼんやりとしか理解できなかった。
ハリウッド映画は、国境を越えて様々な人に希望を与えてきた総合芸術だ。今作は、架空の映画が、文字通り人の命を救ったという「おとぎ話」なのだ。
よく「劇中劇」の形式で語られるストーリーはあるが、今作のように倒錯した「劇中劇」は前例がないであろう。
それが、批評家にうけた要因なのだろうか。
私は、楽しめなかった。
2013.9.27
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