「テーマはノアの選択」ノア 約束の舟 snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマはノアの選択
この映画、ノアの預言どーり大洪水が起き、箱舟にのってパニックを乗り越える超大作だと思っていた。
確かにそんなお祭り要素もあるにはあったが、この映画の軸はエモーショナルなヒューマンドラマであった。
監督のダーレンアロノフスキーは「ブラックスワン」や「レスラー」等で人間のダークサイドを描いてきましたが、それは本作でも全開。
映像の方も相変わらず重厚な色合いで、本作では可能な限りロケを敢行したのか、よりアートな映像を作ることに成功している。
物語は主人公ノアが1人の人間として、はたまた神の意志を正統的に受け継ぐ立場として究極の選択をせまられ、苦悩する物語。
ノアを演じたラッセルクロウをはじめとして、ジェニファーコネリー、エマワトソンらのエモーショナルな演技はとにかく素晴らしいの一言。
ラッセルクロウにいたっては、あんたどんだけ「鬼」なんだよと、そのありさまは恐るべしでした。
ゆえに感情移入は容易にでき、彼ら演じるヒューマンドラマは最後まで飽きずに観れ、後半では涙を流したのは言うまでもない。
本作では予告編で観れるような金のかかったCGも多用されているが、それらは全てドラマを盛り立てる脇役にすぎない。(あっ、ただし動物大集合的なシーンはちと笑ってしまったが...)
個人的に見事だなと思ったのはやはりラストの手前のノアが究極の選択にいよいよ白黒付けるシーンである。ノアがその選択に答えを決めるまでの「タメ」と「タイミング」は映画史に残る名シーンになったのではなかろーか。
この時ふと思ったのが、もしもノアが逆の選択をしていたらどんなに悲惨な物語になっていただろうか、考えるだけでも恐ろしい、でもちと見てみたい気もしたりしました。
結果、この人間としての選択には個人的にしっくりいったし、若干宗教臭くなりそうな雰囲気もそんなに鼻をつく事はなく、おとぎ話としてもヒューマンドラマとしても単純に楽しめた一本でした。
ところでサブタイトルの「約束の舟」って何だ?
あっ、今日はプロレスリングノアの三沢光晴さんの命日でもあった。
関係ないけどノア繋がりでご冥福を。