プンサンケのレビュー・感想・評価
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離れ離れになった家族の哀しみを背負う男
力尽きた眼前に広がる一面の空。「生まれ変わったら、あの鳥達のように、自由にどこにでも羽ばたいていける、そんな世界に生きてみたい」と彼は思ったに違いない。
南とも北の者とも正体不明のプンサンケと名乗る男。自らの命の危険を犯してまで「運び屋」として、統一戦線を行き来するのはどうしてなのか?劇中、彼が一言の言葉も発しないのは興味深い。怒りも、哀しみも、愛さえも。その代わり、目で、手で、時には慟哭で以って全身を震わせ、彼の心の内を私たちは汲み取ることができる。
タイトルのプンサンケ(豊山犬)は北朝鮮の狩猟用犬種で、獰猛で力強く、一度噛んだ獲物は放さないのだとか。
終盤、彼が復讐の手段として、密室に南北の敵対する人員を閉じ込め、銃を投げ込み殺り合わせるシーンは、すさまじい。憎しみや不信、欲望の塊化した人間が、闘犬そのものにみえてしまう。
そして、プンサンケは、再び南北に分散された家族の写真やビデオメッセージを届ける。亡き愛する人のもとにもあるものを届けに。。
キム・ギドク監督がシナリオを手がけたことでも充分、話題性がありましたが、主人公を力演したユン・ゲサン君の、彼の代表作の一つになるであろう作品と個人的に満足しています。
運び屋の活躍だけを描く映画ではありません。
南北朝鮮の38度戦を行き来する謎の男のお話。
てっきり、この行き来する運び屋が38度戦を越える時のドンパチがメインで話が進むのかと思っていたら…そんな単純な話ではありませんでした。
毎回韓国映画見て書き込む内容だけど、お話の作り方が面白い!さすが!
南北諜報員の攻防戦も面白いですが、終盤に両者がひとつ部屋にとじこめられて争うシーンはソウの密室シーンをさらに緊迫させた名シーンに出来上がっています。
この状況を作り出す話の進め方もうまい!
愛国心は必要だけど、過ぎると無意味…、南北分断の悲愴さがしみじみ語られています。
相変わらず…容赦なく最後は皆死亡…これがさらに現実の重みを突き刺しますね。
ガッツリ、ドッシリ映画を見たい方にオススメです。
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