ハンター(2011)のレビュー・感想・評価
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大自然が美しい
映画の中で主人公が森の中に入っていく際、上着などの衣服を煙にあぶるシーンでてっきり虫よけのためにあぶっているのだと思っていたのだけど、映画を見た後、疑問点などを解消するため本作品のwikipediaを読んでみたら、ウイリアム・デフォーが本作品の役作りのために自然の中で自身のにおいを消し方などをサバイバルの専門家から訓練を受けた、とのことだった。虫よけなんかじゃなかった、本物に見えるようにするため、役者ってそういうところまで役作りをするんだと、感心した。
タスマニアと言えば昔オーストラリアを1年間ワーキングホリデーで過ごしたとき、オーストラリア一周の旅行中に訪れた。フェリーで一晩すごし、上陸。大陸と違って砂漠ではなく、緑が多く、ニュージーランドっぽかった。本編でも雨のシーンが結構多く、霧か、もやか、山々にかかったシーンが美しい。なので子供たちの父親のジャラが持っていた紙きれがきれいなまま残っていたシーンには違和感を覚えた。白骨化するくらい長い間行方不明になってたのに??ま、そこは映画だからね。
別の映画サイトで本作品で母親のルーシーをお風呂に入れるシーンに文句を言っている人がいたが、最近見た、昔の西部劇で砂漠に放置されていた女性を医者である男性がお風呂に入れる場面があった。欧米ではお風呂に入れるのが治療として存在しているようだ。もっとも主人公もクラシックを聴きながら入浴してリラックスするシーンが何度か出てくる。
この映画、印象的な曲が2回流れる(主人公が入浴中に聞くクラッシクではなくて)。1回目はブルース・スプリングスティーンの曲。ルーシーが旦那さんが戻ってきたと勘違いして起き上がるくらい好きな曲なんだろう。もう一曲は森のスピーカーから大音響で流れる交響曲っぽいの。なんていう曲なのかわからないけど、とても良い。
結局、主人公はラスト、本当に最後の1頭かもしれないタスマニアタイガーを撃ち取る。生物兵器を目的とするDNAを採取させないために。
オーストラリアはほかにも絶滅した動物は多く、昔訪れたとき、当時から持ち込む食品は厳しく制限された。自分たちが行った行為の反省??
本作品もそうだが、あえて情景をゆっくり映し出すシーンがあったりするのを理解できない人たちがたまにいるようだ。最近はファスト映画なんてものが存在するが、制作する側は撮影したフィルムから必要なシーンを選びに選んで上映フィルムを制作しているわけなのでその各シーンにはメッセージがある。だからながらで映画を見たり、ましてやファスト映画なんかで映画を見ないでほしいものだ。
彼が最後にハントしたものは…
人としての良心、他人の子供。孤高のハンターで愛想もない男をウィレム・デフォーが渋く演じている。森に入るたびに環境保護に反対する林業従事者が威嚇射撃したり、嫌がらせするなど不穏な空気。サム・ニール演じる男も何だか怪しいし、環境保護者たちもタスマニアタイガーを政府からの仕事で貰うなど、それって保護なの?とよく分からん展開。家族と触れ合ううちに、孤高から、人の温かみを感じるようになるが、もたつくうちに依頼者であるバイオ企業=軍事組織が後任を送り込み命まで狙われるのか羽目に。家族も殺すし、ウィレムまで狙う理由がわからないのだが。。ウィレムもようやく真剣に張り込んで探すようになるのも、もっと早くやれよという気もする。しかし、ウィレムは孤高の男が似合う。
軍事産業の秘密
広大な自然が残されているタスマニア。そこでは外部から来た環境保護団体と、現地の森林伐採業者が激しく対立していて、一触即発の不穏な空気も流れていた。マーティンを雇ったのはバイオ軍事産業レッド・リーフであり、タスマニアデビルの生態を研究する大学の研究者として紹介された。アームストロング家には母親ルーシーと幼き娘と息子の3人住まい。父親のジャラは山へ行ったきり行方不明となっていた。夫がいないためルーシー(オコナー)は病に伏していて、発電機が故障しているために電気もない生活を余儀なくされていたのだ。ミンディがたまに面倒を見ていたのだが、なぜか彼も怪しい存在・・・
捜索も順調だったが、仕掛けた罠をはずされたり、車(パジェロだ)にいたずらされたりと森林業者からの嫌がらせばかり。家に戻ると、発電機を直したりルーシーを風呂で洗ってあげたりと彼らの生活に溶け込んでいくマーティン。やがて失踪中の父親がタイガーを見たことがあると聞きだし、息子が絵を描いてみせてヒントとなった。
森林伐採禁止令を勝ち取ったボランティアの人たちがアームストロング家で宴を開くが、そこへ業者の嫌がらせ。そんな対立シーンもあったりして、捜索活動の邪魔をする奴らは彼らじゃないのでは?などといぶかしげになったりする。そしてボランティアの連中も目的を遂げたわけだが、彼らが政府から新しくもらった仕事がタスマニアタイガー探し!みんな絶滅したはずのタイガーを狙ってるんだ・・・やがてタイガーの棲家である洞穴を見つけたマーティンは、その近くに亡くなったジャラの遺体を発見する。そして遺体とともに埋められていた子供の絵を見ると、レッド・リーフ社のロゴマークが!ジャラもタイガー探しの依頼を受けていたのだ。ルーシーに問い詰めると、タイガーには特殊な猛毒があり、それを各国の軍事産業がDNAを求めている事実を知る。環境問題だけじゃなく、恐ろしい軍事産業の秘密をもテーマにした社会派サスペンスだったのね。
さらにミンディのいい加減な報告により、次なる捜索者を寄こした軍事産業。そいつは仲介者に「助手はいらんかね?」と紹介された奴だ!こわっ。あっさりマーティンは山中で見つかってしまい手を縛られ洞穴まで案内させられようとしていた。絶体絶命のピンチの中、彼は動物用の罠に刺客を導き、寸でのところで勝利。しかし、何で簡単に見つかったんだ?と刺客のポケットを探すと、座標を書いた地図・・・それは出かける前にルーシーに渡したものだった。急いでアームストロング家に帰ると、すでに家は燃やされ、ルーシーを娘は亡くなっていた・・・警察も事故処理していた。ミンディに問い詰めても、彼も森林業者側だったし、マーティンを撃とうとさえしていたのだ。
こうなったらタイガーを捕まえるぞ!と悲しみをこらえて洞穴に向かう。ついに見つけた!とためらいながらも一発でタイガーを撃ったマーティン。血液などを採取しなけりゃ・・・と思いきや、やはり全て燃やして痕跡を無くす方を選んだ。灰をジャラの遺品である水筒に入れて山に撒くマーティン。ラストシーンは遺児となったジャラの息子を引き取りに行くマーティン。泣かせるぜ!ウィレム・デフォー。
小物として、iパッドの小型ステレオでクラシカルな音楽を聴くマーティン。そしてアームストロング家の庭では木に小型スピーカーをいっぱいくくりつけて科学者たちのウッドストックにするという夢。何だかいい拾い物をしたような気分になる映画だ。
(ほぼ備忘録)
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