「軍事産業の秘密」ハンター(2011) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
軍事産業の秘密
広大な自然が残されているタスマニア。そこでは外部から来た環境保護団体と、現地の森林伐採業者が激しく対立していて、一触即発の不穏な空気も流れていた。マーティンを雇ったのはバイオ軍事産業レッド・リーフであり、タスマニアデビルの生態を研究する大学の研究者として紹介された。アームストロング家には母親ルーシーと幼き娘と息子の3人住まい。父親のジャラは山へ行ったきり行方不明となっていた。夫がいないためルーシー(オコナー)は病に伏していて、発電機が故障しているために電気もない生活を余儀なくされていたのだ。ミンディがたまに面倒を見ていたのだが、なぜか彼も怪しい存在・・・
捜索も順調だったが、仕掛けた罠をはずされたり、車(パジェロだ)にいたずらされたりと森林業者からの嫌がらせばかり。家に戻ると、発電機を直したりルーシーを風呂で洗ってあげたりと彼らの生活に溶け込んでいくマーティン。やがて失踪中の父親がタイガーを見たことがあると聞きだし、息子が絵を描いてみせてヒントとなった。
森林伐採禁止令を勝ち取ったボランティアの人たちがアームストロング家で宴を開くが、そこへ業者の嫌がらせ。そんな対立シーンもあったりして、捜索活動の邪魔をする奴らは彼らじゃないのでは?などといぶかしげになったりする。そしてボランティアの連中も目的を遂げたわけだが、彼らが政府から新しくもらった仕事がタスマニアタイガー探し!みんな絶滅したはずのタイガーを狙ってるんだ・・・やがてタイガーの棲家である洞穴を見つけたマーティンは、その近くに亡くなったジャラの遺体を発見する。そして遺体とともに埋められていた子供の絵を見ると、レッド・リーフ社のロゴマークが!ジャラもタイガー探しの依頼を受けていたのだ。ルーシーに問い詰めると、タイガーには特殊な猛毒があり、それを各国の軍事産業がDNAを求めている事実を知る。環境問題だけじゃなく、恐ろしい軍事産業の秘密をもテーマにした社会派サスペンスだったのね。
さらにミンディのいい加減な報告により、次なる捜索者を寄こした軍事産業。そいつは仲介者に「助手はいらんかね?」と紹介された奴だ!こわっ。あっさりマーティンは山中で見つかってしまい手を縛られ洞穴まで案内させられようとしていた。絶体絶命のピンチの中、彼は動物用の罠に刺客を導き、寸でのところで勝利。しかし、何で簡単に見つかったんだ?と刺客のポケットを探すと、座標を書いた地図・・・それは出かける前にルーシーに渡したものだった。急いでアームストロング家に帰ると、すでに家は燃やされ、ルーシーを娘は亡くなっていた・・・警察も事故処理していた。ミンディに問い詰めても、彼も森林業者側だったし、マーティンを撃とうとさえしていたのだ。
こうなったらタイガーを捕まえるぞ!と悲しみをこらえて洞穴に向かう。ついに見つけた!とためらいながらも一発でタイガーを撃ったマーティン。血液などを採取しなけりゃ・・・と思いきや、やはり全て燃やして痕跡を無くす方を選んだ。灰をジャラの遺品である水筒に入れて山に撒くマーティン。ラストシーンは遺児となったジャラの息子を引き取りに行くマーティン。泣かせるぜ!ウィレム・デフォー。
小物として、iパッドの小型ステレオでクラシカルな音楽を聴くマーティン。そしてアームストロング家の庭では木に小型スピーカーをいっぱいくくりつけて科学者たちのウッドストックにするという夢。何だかいい拾い物をしたような気分になる映画だ。
(ほぼ備忘録)