「デニース!!」マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
デニース!!
物心ついた頃にはサッチャーさんが英国の首相だったので、
彼女の顔はよく覚えている。鉄の女^^;確かにそんな風だった。
その後彼女からメージャーに交代した時、エっ?なんで男?
なんて思ったほど(爆)男らしい決断力に溢れた女首相だった。
でもちょうどこの頃って、米ではレーガン、日本では中曽根、
新自由主義や大規模な行政改革で政治が湧いていた時代。
ソ連にはゴルビーもいた頃だ。この人は今でも好きだなぁ^^;
とはいえ、政治のことは今ひとつよく分からないので、
今作で勉強が出来る!なんて、辛くも目論んでいたのだけど…
そういう作品じゃなかった。
確かに今作、M・ストリープの素晴らしい演技とメイクが
堪能できる作品だが、物語の構成や脚本が面白い訳ではない。
彼女の政権時代をもっと詳しく見せるのかと思っていたら、
現在の彼女の回想、という形で語られるのがほとんどなので、
夫や子供を含めた家族の話、自身の過去や父親との想い出と
いった感じのファミリー要素が強く(確かにそれもアリだけど)
妄想や幻想を含めて行ったり来たりするので入りづらい印象。
彼女の人となりはその言動を含めて分かり易いのだが、やはり
アイドルじゃないから(すいません)人物に奥行きが出ないのか…
メリルの名演技を持ってしても今ひとつ、このサッチャーさんの
真の魅力が描けていない(魅力がないとは決して言いませんが)
そんな感じ…。政治家に感情移入できるかどうかなんて、
どこぞやの映画とは違うんだから^^;ナンセンスもいいところだが、
これだけ家族の話を持ち出しても、素晴らしい伴侶に巡り逢えて、
彼女は幸せだったわねとか(今まで亡霊がついててくれたわけだし)
娘も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる…ことしか浮かんでこない。
父から培った彼女の信念は、政治改革に反映されたとは思うが、
大きく祀り上げられた後、今度は台座から引き摺り下ろされるのが
かつてのある女性政治家を見ているようで、あまりに哀れだった。
まぁでも12年…。長きにわたって活躍したのだから、すごいけど。
しかしメリル…^^;すごい女優さんですねぇ。
周りは英国人俳優ばかり、その中で首相役をやっちゃうんだから。
思うに彼女の旦那さん(彫刻家)もかなりの理解者であるらしく、
デニス同様^^;、よき伴侶ありきのこの仕事ぶりということですね。
確かな才能も、それをより際立たせてくれるものが必要なので、
サッチャーさんも(まずこの名字がいいですねぇ)容姿から声質まで
ガラリと変えて、見事に当選!でもちょっとその、
高音でギャーギャー喚いていた頃の彼女も見てみたい気がする^^;
(丸○珠○みたいな感じか?)
現在は認知症で苦しまれているそうだが、
娘さんがついているようだし、何より周囲に恵まれた人だと思う。
鉄の女も涙を流せば、やがて錆びるのか。でもそれが人間よね。
(デニース!!あの威厳ある低い声がこびりついて離れません^^;)