「評価としては面白かった。」ユダ myaa1969さんの映画レビュー(感想・評価)
評価としては面白かった。
今年劇場未だ2本目の映画は立花胡桃さん自伝小説『ユダ』の映画化。
もちろん小説の方も読んだこともなければ特段彼女を注目するファンでもないが、彼女がテレビで発する発言などを良いか悪いかは別にしてベストセラー小説を描いただけの物事への解釈力を持った人と思っており、彼女の文学力量に興味があって鑑賞。
ちなみに題名の『ユダ』とはイエス・キリストの13人の弟子の一人の名前で一般に言い伝えられる新約聖書の解釈によればイエスを裏切って彼を祭司長たちに引き渡した人物。 その結果イエスは処刑されてしまう(小中学生にプロテスタント系の教会に通っていた豆知識)。
このことから裏切り者の代名詞として 『ユダ』 が使われるとのこと。
ただ、ユダはイエスの最大の理解者であったという解釈もあるようで、最近みつかった古文書によればユダは真面目で篤実な性格で、律法学者に騙されて捕縛者をイエスのところへ導いてしまった,というユダを援護する新説もあるそうです。
小説は前節からとってるのでしょう。
映画自体の全体評論としては面白い。
オーディションで抜擢された水崎綾女が変幻していくパーソナリティを違和感なく非常に自然に演ずる高い演技力、
また大物は使わない役者陣の演技もとても自然。
セットも夜の歌舞伎町という清濁併せ持つ世界もストーリーも本人がリアリティに拘ったというだけあって物語としてはよく仕上がっている。
ただ彼女曰くの『裏切りに継ぐ裏切り??』の程度に対しての本人が行ってきた世の中への報復?は未熟すぎて自分へのエクスキューズが過ぎるのでは?という感想(もちろん自分へのエクスキューズではなく善悪の区別が識別不能になったのだと思うが)。
でも自伝的物語といえば大概は解釈を強引に後付けで追いつけて綺麗に過去をドレスアップする『自画自賛』ものが多く、自分は好きではない中、自戒も込めて?全て赤裸々に過去を告白するところは称賛できる。