「皆が君を必要としている!」最強のふたり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
皆が君を必要としている!
スラム街育ちの黒人青年と首から下が麻痺している富豪の絆。
何なのだろう、特別目新しい題材でもないのに、特別に感じてしまうこの魅力は?
それはきっとオマール・シーが演じたドリスにあるのだろう。
複雑な家庭環境、荒れた生活、無学で無職。
失業保険欲しさに就職活動した富豪の介護の面接に採用。
ドリスの介護は見てて危なかっしいが(笑)、頑なだった富豪フィリップの心をほぐしていく。
臭い言葉だが、それは“心”だったのではないか。
障害者と対すると、必要以上に気を遣う。中には偽善もあるだろう。
そういうのって何より鬱陶しく、嫌なものだろう。
ドリスはそれらをまるでビートたけしのようなキツいジョークで笑い飛ばす。
フィリップを“障害者”としてではなく、“人”として対等に接する。
壁を作らないドリスに、我々は劇中のフィリップ同様、魅了されてしまうのだ。
終盤、ドリスはフィリップの元を去る。
修復し難い仲になったわけでもなく、仕事放棄したわけでもない。
ドリスの家族にはドリスが必要だったからだ。
そしてフィリップもまたドリスを必要としていた。
不必要な人間なんて居ない。
皆が、あの人懐っこい性格と屈託のない笑顔を必要としているのだ!
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