「偏見」最強のふたり U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
偏見
刺激が必要なのかな。
生きる原動力とでも言おうか。
随分と対象的な2人が主人公。
邦題に「最強」ってあったけど、そんな話でもないように思う。まぁ、補い合うといえばソレに近いのかもしれないが。
健常者であるドリスは、ガンガンフィリップの世界を壊していく。それがフィリップには楽しくて仕方ないみたいだ。腫れ物に触られるような眼差しで扱われていたのだろう。富豪でもあり雇主ならば、彼の意向に沿うように仕事をするのは当たり前の事だ。
だが彼には元々、それを理解するだけの教養がない。
刷り込まれてる通念みたいなものもない。
ドリスからみたら疑問の方が多いのだろう。
結果、フィリップが自ら作り上げた窮屈な世界は、ドリスによって破壊され尽くし、風通しが良くなる。
面接の時に彼が感じたインスピレーションは当たっていたのだろう。安全よりも変化を求めた。
彼の中で、それは繰り返される毎日からの解放であり、明日への期待であり刺激にもなるのだろう。
ドリスが壊したものはソレだけじゃない。
オペラからオーケストラから、詩や絵、里親としての遠慮や、障害者としてのフィリップや。
ドリスはフィリップの世界に革命を起こしたようなものだ。
そんなお2人の芝居は流石であった。
愛嬌のあるドリスはいいんだけど、フィリップさんは達者だった。
最後のレストランで見せる不安とか、ドリスと別れてからの苛立ちとか、押し殺す笑いとか、まぁよく動く。
総体的には良作であった。
isleさんのレビューが秀逸だった。
原題が「Intouchables」不可侵領域とでも訳せばよいだろうか?
それへの造詣の深い事。
なるほど、教養があれば尚作品を深く知る事もできるのだな。ここにきてフランス映画の文脈を理解したような感じだった。