「歴史に残る名作」エクソシスト 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史に残る名作
【✦✦ネタバレ無し✦✦】
良質なホラー映画は80年代以前にしか無いのか?というレベルで本作も例に漏れず今観ても迫力満点でかつ面白い、最高の”映画”でした。
エクソシスト。なんか悪魔に取り憑かれてる女の子を悪魔祓いする話って部分は知っている方も多いと思います。あのベッドが浮いてるシーンとスパイダーウォークくらいは知ってる、私もそんな内の一人でした。
もうね、、、、これは人間ドラマなんですよ。
主人公のカラス神父は信仰心100%のすんごい神父とか別にそんな事は無いんです。普通にランニングとかしてるし皮肉もかましちゃいます。そして病気の母の世話をしていて決して裕福でも無く、男としても冴えない。まるでジョーカーの前半を観ているかのようでした。
そもそも意外だったのが、本作はもっとオカルト的な世界観かと思いきや【逆】で、【科学】の進んだ【科学】が信じられている当時の普遍的な世界をベースとして描かれている点でした。
もっとそこら中を神父が歩いているような宗教タウン(言い方)かと思いきや、全然医学の力で解決しようとするし、「悪魔祓い?寝言はよせ笑」なんてノリなんです(笑)。
そう、本作肝なのが最初っから「悪魔よ去れ~~!」なんて濃さは無くて、むしろ「悪魔なの?」「やっぱり変な病気?」みたいな現実的な視点から入っていくところに面白さと【恐怖】が存分に絞り出されているんです!!
『まあ言うてもそういう事が起きるまでの雰囲気は怖いとして、実際の悪魔祓いのシーンは70年代の映画だしチープなんじゃないの?』
・・・・・・・・・いっっっっっっさいそんな事は無かったことをご報告したいと思います。
もうね、怖すぎやろと(笑)。
「子役が悪魔に取り憑かれた演技頑張っとるな~」、なんて次元じゃないんです。もうそこには女の子の可愛さとはかけ離れた恐ろしい悪魔が取り憑いているようにしか見えないんです。実際、本当に撮影中は大変だったらしいですからね。
怖いし汚いし悍ましいしで、この迫力はこの年代のメイク技術と画質と音声の粗さがミックスされた雰囲気でしか出せない究極的な芸術とでも言いますか。
もうとにかく悍ましいんです。やっぱりホラーって昔なんですよね。今のは綺麗過ぎる。
そしてそんな悪夢を乗り越えた先のどこか受験シーズンでも過ぎたかのような達成感。。。。これはショーシャンクの空にでも味わった感覚に似ています。良質な映画ってなんでこんなに後味が良いんでしょう。
是非観てください。今すぐ。