「ドキュメンタリーと劇映画」最後の手紙 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーと劇映画
現在観る事が出来るワイズマンの作品群の中では唯一の劇映画です。ナチスによりゲットーに収容されたユダヤ人女性医師が死を覚悟した思いを息子へ宛てた手紙の形で語る一人芝居。非常に演劇的な構造ですが、シルエットを上手く生かした紛れもない映画作でした。狙いを直接言葉や映像で語らず、観る者に判断を委ねる彼のドキュメンタリーとは異なりかなり直球のメッセージでした。
ワイズマンの『コメディ・フランセーズ』(1996) では劇団の運営側メンバーとして登場していたカトリーヌ・サミーが、女優としても途轍もない力を持っている事を知らしめる一作でした。彼女の語りだけで一時間、緊張が緩む事は片時もありませんでした。
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