「恐るべし、なりふり構わぬ圧倒的な印度パワー」ロボット マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
恐るべし、なりふり構わぬ圧倒的な印度パワー
タイトルバックからギラギラのCGだ。
全篇にわたって、リアリティを演出するためのVFXというより、CG使って何が悪いという、開き直りともとれるやりたい放題の映像が展開される。
話はいたって簡単だ。生みの親である博士の彼女に横恋慕するが、想いが叶わず暴れまわるというもの。しかも登場人物は実質5人だけだ。
前半は、ロボットのチッティがもつ潜在能力が次々と披露され、やりすぎのパフォーマンスや勘違いによる失敗で大いに笑える。
一生懸命、人間に気に入ってもらおうと(この時点ではまだ感情を持たないのだが)健気に働くチッティの姿を見るからこそ、後半の暴走に切なさが滲む。
恋に敗れ、創造主に潰されたチッティの悪態ぶりは半端ではない。
ターミネーターとマトリックスとトランスフォーマーが一緒くたになったような暴れようだ。
迎え撃つ警察隊の数も相当なもので、インドのマンパワーも中国に負けないほどスゴい。
インド映画といえば歌って踊ってだが、定石通りメタリックな衣装を身にまとって大音響で踊りまくる。オリジナルは40分も長いのだから、さらに踊りまくっているのだろう。
サナ役のアイシュワリヤー・ラーイは、踊っているときのほうが色っぽい。
歌の歌詞もストレートで分かりやすいい。
VFXはデキがいいに越したことはないが、求められるのはアイデアの面白さと、それを見せるための勢いと遊びだ。こういう荒唐無稽な話ほど、現実離れしたまさかの展開と、ひょっとしたらあり得ると思わせる設定のさじ加減が見る者を楽しくさせる。やり過ぎぐらいのほうがいいのだ。
昔は邦画もなりふり構わず浮世離れをゴリ押しした映画が多かった。いつの間にか、リスクを背負わず行儀のいい作品が多くなってしまったような気がする。日本はコミックなど奇抜なアイデアの宝庫だ。インド映画のしたたかさに負けずにハチャメチャな映画を撮ってほしい。