劇場公開日 1976年10月

「脚本と演出の上手さによってじわじわと盛り上げてくるサスペンスが作る正統的な怖さ」オーメン(1976) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0脚本と演出の上手さによってじわじわと盛り上げてくるサスペンスが作る正統的な怖さ

2019年2月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

さすが名作だ
本当に怖い
総毛立つ思いを何度も味あわされた
衝撃的なシーンは二度あるがそれよりも脚本と演出の上手さによってじわじわと盛り上げてくるサスペンスが作る正統的な怖さだ
単なる驚かせて怖がらせる子供騙しはない
聖書の黙示録からオカルトな文言や解釈が何度も飛び交うが、キリスト教の世界で育ってなくともキリスト教の知識が無くても、日本人もしっかりと怖い作りになっている

米国駐英大使というような超のつく要職にある人物があのように自由に動けるのかというのは野暮なのでそこは目をつぶろう

初老になった名優グレゴリー・ペックはきちんと駐英大使というスーパーエリートに見える
その彼がスクリーンに映るだけで隅々まで引き締まるのだから恐るべき名優だ

そしてその彼が修羅のようになる
彼の常識人、正直な人、高潔な紳士そのもののイメージの男が息子を殺ろそうする
その落差がより怖さを作る落差の高さになっている

音楽もまたこれぞ劇伴の正しい姿で、キャッチーなメロディも印象にのこるフレーズもないが、怖さを的確に盛り上げて行く見事な仕事をしている

ダミアンが振り返り不敵な笑みを浮かべるあのラストシーンは映画史上に残る程の名シーンだ

これぞエクソシストに並ぶ、オカルト映画の永遠の原点だ

あき240