「こういう人物が居るから映画はさらに面白い」コーマン帝国 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
こういう人物が居るから映画はさらに面白い
言わずと知れたB級映画の帝王、ロジャー・コーマンに迫ったドキュメンタリー。
コーマンの手掛けた作品を紹介しつつ、コーマンの映画製作手腕、“コーマン学校”の卒業生がコーマンについて語る…。
コーマンの事は勿論知っていたが、改めてこうやって見ても、最初から最後まで興味深い内容。
星の数の映画人の中でも、ロジャー・コーマンほどユニークな映画人はなかなか居ない。
手掛けた作品はB級、チープと呼ぶのが相応しい超低予算映画ばかり。
コーマン映画を見て、素晴らしさや斬新さを覚える事は無いだろう。
しかし、映画をビジネスとして捉えるなら、コーマンは成功人。
安く早く作る。何でも利益を上げる時の鉄則。
低予算のSFやホラーがほとんどだが、エログロなど観客の見たいものを見せる。
言ってみれば、B級グルメと同じ。それもグランプリを穫るものではなく、それなりに満足出来るもの。
コーマンの人となりは意表を突く。
一風変わった人物かと思いきや、温厚で紳士的。
そんなコーマンの下で映画を学んだ映画人は、今さらわざわざ名前を挙げなくても分かるくらい錚々たる面々。
彼らがコーマンを語る時、本当にコーマンへの愛を感じる。
特に、ジャック・ニコルソンの言葉はグッとくる。
コーマン門下生のその後の活躍や成功が、コーマンも自分の事のように誇らしいという。
普通の恩師と教え子と変わりない。
コーマンを“B級映画の帝王”とだけで称されるのは勿体無い。
才と人徳溢れる、偉大で魅力的な映画人。
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