劇場公開日 2012年4月7日

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コーマン帝国 : 映画評論・批評

2012年3月27日更新

2012年4月7日より新宿武蔵野館ほかにてロードショー

アメリカ映画の懐の深さを感じさせる「B級映画の帝王」の穏やかな素顔

ロジャー・コーマンという名前を知らなくても、彼を巡ってのこのドキュメンタリーに出演している豪華メンバーをみたら、コーマンとは何者かと興味は湧くはずだ。一般的には「超低予算映画の帝王」「B級映画の帝王」とか言われていて、500本を超えるプロデュース作品、監督作50本超。いかにもやり手で如何わしく脂ぎった人を思い浮かべてしまうのだが、本作を見ればそんなこちらの勝手なイメージがあっさりと覆されてしまう。

アメリカ映画の懐の深さと言ったらいいだろうか。地獄と天国が隣り合わせ、隙あらば他人の懐を狙おうとする有象無象うごめく世界とは無縁の、穏やかで温厚な紳士然とした老人が、そこにいるのである。もちろん昔もこの風情だったのかどうか、現場でもこの物腰なのかどうかは知る由もないが、とはいえ未だ現役。1926年生まれだからすでに85歳を超えている。このまま100歳を迎えて欲しいと思わず呟いてしまう。この人なら出来る、そのために何かしてあげたいと思う。

そんな人徳が才能を集めた、とも言える。ジャック・ニコルソンロバート・デ・ニーロマーティン・スコセッシクエンティン・タランティーノ等々、その広がりは果てしない。金は儲けたかったが金のために集まったわけではない、その野心と野望とを人生の歓びへと変容させる何かを、彼は持っていたのだ。人生とともにある映画。いかがわしくも美しき歓びが人を動かす。映画を見たくなった。

樋口泰人

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