「物語が粗い」崖っぷちの男 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
物語が粗い
総合60点 ( ストーリー:40点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
たとえ25年の刑期があっても、父親が死ねば特別に刑務所を出て葬式にだけは出席出来る。そこから始まる緊迫の活劇が途切れることなく続く。
しかし物語がかなり粗い。葬式の場でのあまりにわざとらしい弟の行動で主人公の脱獄計画があったのはすぐにわかるが、あれでは本当に脱獄出来るだけのものだったのかは怪しいところだ。車を失ったのにどうやって捜索を潜り抜けたのか気になる。
それに特にどうやって全体の計画をまとめたのかがさっぱりわからなかった。厳重な金庫室の図面と防犯設備の情報をどうやって手に入れ、爆発物はどうやって調達したのか。出来の悪そうな素人くさい弟はどのように潜入のための専門的技術を身につけたのか。その中に本当に探している物があるのかをどう知ったのか。そこにそれがある確証がなければ、普通は命を賭けて計画を実行する気になれないでしょう。そして一体誰がこんな大それていて詳細な計画を作成出来たのか。刑務所で2年も燻っていた主人公? 情報もないのに無理。けっこう冒頭から疑問符だらけで成り行きを観ていた。
しかも最後の最後で、父親はどうやって死んだことになったのか。教会も警察も騙して代わりの死体を用意でもして葬式を出したのか。こんな無茶なことが続くと現実感が無さ過ぎてひいてしまう。もうちょっと喜劇風に作っていればそれでも許せるのだが。相棒の刑事や宝石商の社長の行方もほったらかしになっていて気になった。そもそも盗みが目的ならばこんなに目立ったりしないでこっそりと盗めばいいだけなのではないか。
ただし状況の描写はそれなりに緊迫感はあった。活劇もあったしその部分での面白さはあった。