劇場公開日 2012年7月7日

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崖っぷちの男 : 映画評論・批評

2012年6月26日更新

2012年7月7日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

ツッコミどころが多いが演出の勢いで押し切る、拾い物のサスペンス

ドキュメンタリー出身の監督が初めて撮った劇場用映画だが、よく練られた物語を細部まできっちり作り上げた拾い物のサスペンス。

ニューヨークのホテルで、元警官ニック(サム・ワーシントン)は飛び降り自殺を装い、騒ぎを起こす。身元を徹底して隠す彼の真意を懸命に探る刑事リディア(エリザベス・バンクス)。ニックは、彼女の経歴から誠実さと人を見る目を信じて交渉人に指名し、時間を計りながら向かいのビルに侵入しようとしている弟たちに無線で指示を出す。この2か所のドラマが同時進行する構成だが、その絡みは絶妙だ。

ビルの屋上を弟たちが爆破するシーン。彼らは壊す部分にマットを被せ、上方はシートで覆い、音と煙を抑える準備をして時を待つ。ニックは、飛び降りる素振りを見せて野次馬の視線を集め、歓声を煽って爆破音を消す。その流れがきちんと映像でとらえられていく。

その後も、例えばニックがわざと指紋を提供すると、狙った時間に素性がばれ、刑事が向かいのビルを調べる。兄弟が動くたび、そのつど行動の意味が示され、思わず「なるほど」と頷いてしまう。さらに、消防隊が用意した道具や演説する野次馬の男性など、印象深いものがみな展開に絡み、うれしくなる。

ただ、緻密な作戦に見えて、肝心の部分はほとんど運任せ。それがことごとくうまくいくのは出来過ぎだが、何げない会話で「準備に1年かけた」と言わせるなど、気になる点はみな巧みに説明され、演出に勢いもあるので気にならない。役者たちもそれぞれ自分の役所をしっかり演じ、後味も爽やかだ。

(山口直樹)

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