「見た人のレベルで評価が変わる」009 RE:CYBORG 燦然りおんさんの映画レビュー(感想・評価)
見た人のレベルで評価が変わる
今回の009は攻殻機動隊S.A.C.シリーズの神山建治監督&ProductionI.Gによる製作で絵柄もずいぶん変わりまして、予告映像を見ても『公安9課の009か?』な感じでしたが、2001年のTV版とは違う良さを期待して劇場に足を運びました。可能なら3Dで見た方が良い作品です。攻殻的なグラフィックは断然3Dの方がぐわんぐわん楽しめます。
作品としてかなりコアなファンに向けて作られているように感じました。あえて評価が分かれるように狙っているようにも思えます。
・アニメ好きの人に連れられて、日常ほとんどアニメを見ないアニメ属性で無い人→「なーにコレ~、こういうモンなの?むずか~しい~(話が解ってなくても映像演出綺麗なので50点)」
・アニメは見るがエヴァとかまどかマギカとか近年のものがメインな一般的なアニメファン→「えー、何コレ!?こんな終わり方アリかよ~!(何て脚本だ!30点で赤点)」
・古くからの石ノ森作品の哲学と理念を知っていて理解している(当然今までの009の流れも全て把握している)ディープなファン→「そう来たか神山!いや~解っているじゃない~。当然コレで終わりじゃねえよな!(続編の期待も含めて90点!)」
私自身も見ていてラストの展開に『なんだこりゃ~?俺の100分を返せ!!』と思ってしまったのですが、EDラストで示唆されたものを見て『そういえば神山監督って、今回製作に当たって009を最初から全部見直して、石ノ森プロに出向いて早瀬マサトに質問をぶつけて、細かい部分の確認作業とかディスカッションしたってあったな~』『石ノ森先生逝去後の石ノ森ノートも含めて、コレが神山解釈って事か?』『いや~、やるじゃないか神山!』と思いました。
考えてもみれば今回のテーマは壮大すぎてとても100分ちょっとの尺で収拾のつくものではないし、いくつかの伏線も未回収なので、今回は「00ナンバーズ達が再集結するための話」で言わば序章です。今後の製作はないと言うのが既定のようですが、それでも続編も見据えての物語なのだと思います。
うがった見方ですが攻殻の続編展開が無さそうなので、Production I.Gとしては009をテーマとしたいのかなあ、とも思いました。
私自身はぜひ続編希望しますが、興行的に今作がどう評価されるか・・・
前述した一般的なアニメファンの感想が、正直レビューとしての大方の評価になってしまうんじゃないかと心配です。
ただここでもし終わってしまったとしても、009がそもそも未完の作品なので、ああいう終わり方でも『未完の009を表現してみました』という言い訳が成り立ってしまいそうですが(笑)。