「テイラー・ロートナーファンには見逃せない作品かも!」ミッシング ID Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
テイラー・ロートナーファンには見逃せない作品かも!
この映画を、私は友人と一緒に試写会で観た。映画終了後その友人は、この映画を「B級映画」だと評した。しかし私はその様に評価はしていない。
ところで、「B級映画」なるものは、どんな映画を指して、B級作品と定義するのだろうか?
「B」が有るなら当然「A」も存在する筈である。しかし言わずと知れて、「A」ランキングとして評価に値する映画とは、不特定多数の誰しもが観た後に素晴らしい映画だったと、好評価をした作品を「A級映画」作品と呼ぶのだろうか?秀作や、名作と言われる作品は、あえて「A級作品」とは呼ばないが確かにランキングを付けるなら、A級作品と言えるはずだ。しかし、それでは、ヒット作=A級作品と言う事になるだろうと懸念する・・・
例えば、東京の岩波ホールと言う映画館では、永年に渡り、多くの秀作、名作の上映をしている劇場であるが、単館系ロードショーなので、必ずしも全国的な興行成績ランキングで評価するならば、上位の作品ばかりを上映している映画館には値しない事になってしまうのだが、しかしこの劇場で上映する映画の多数は、世界の映画祭で良作、秀作と評されていても、スター俳優が出演していない事や、新人監督の作品であるなど、原作がメジャーではないから、或いは政治的色彩色が濃いなど等々様々理由により、大手配給会社が配給しない、それらの選定から漏れた、良作を世界のマーケットから選び買い付けてきた作品の上映をしている。取り上げられてきた作品の多数は、どれも地味だが秀作揃いで、良心的な作品ばかりが上映を占めるのだ。
今では世界的評価の高い日本の巨匠黒澤監督の「羅生門」も制作された当初は、好評価を得られず、お蔵入りの映画であったが、ヴェネツィア映画祭でグランプリを受賞してから、ヒットした事は有名な話である。確かにこの作品は良く出来た素晴らしい評価を得るに相応しい作品であり、ヒット作であると言える。しかしこの作品に似ていても、実は否なる作品として「おくりびと」がある。この作品の公開した2008年の秋は話題にも殆んど上がる事の無い作品だったが、2009年の3月にアカデミー外国語映画賞受賞と言う快挙を遂げてしまった為に、この映画は凱旋ヒット作となった。しかしこの作品は受賞に値する程の本当に良いA級作品かと言えば、同じ人の臨終を描いた伊丹十三監督の「お葬式」84年作とは比べると、到底比較にも値しない、「おくりびと」が駄作である事は映画を観れば一目瞭然である。
話が「ミッシングID」と逸れてしまったので本作に戻すが、要するにトワイライトシリーズと言うヒット作に出演しているテイラー・ロートナーや、これからの人気が期待出来るリリー・コリンズを起用し、シガニーウィバーなど名優で脇を固めても、本作は全く面白くない作品だ。俳優達も人気の若手を起用し、アクションシーンも多数在るのでテンポ良く、切れ味の有るアクション娯楽作品が出来るはずなのだが、残念だが結果及ばない。そしてアクションシーン満載と言う事は、特撮などCGも多数有り、低予算の製作コストでギリギリの為に、製作サイドに制約が有り過ぎて、縛りの為に企画していた様な当初の面白い、良い映画に仕上げる事が出来なくなってしまった不運な作品とは思えない作品だ。
これは間違いなく予算もそれ程悪くはない、立派な駄作である。
ジョン・シングルトン監督の「ハイヤー・ラーニング」は悪くは無かったのに・・・
決して、この監督に才能が無いからと言う事に起因している訳ではないと考える。
短く見易い飽きのこない尺でありながら、映画に引き込まれて行けないのは、全体のバランス感覚が優れていない為ではないだろうか?
導入部が長く、話の展開が見え難いじれったい作品だった。そのスローテンポな導入の仕方が、後半に意味を持ち、ストーリーに生かされてくる事無く終了した。
ここに立派な駄作の見本が出来上がったと言う気がする。