「辛い、、、」かぞくのくに Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
辛い、、、
ソンホ(井浦新): 16歳で北朝鮮に送られ、そのまま25年間を過ごす。脳に腫瘍が見つかって、治療のために日本に帰ってきた。帰国のための手続きで5年もかかったという。3ヶ月間の滞在予定だったが、治療が始まる前になぜか急に北に呼び戻されてしまう。
エリ(安藤サクラ): ソンホの妹。日本で生まれ育ち、大学で日本語の講師をしている。
「あの国ではな、理由なんて、全く意味を持たないんだよ」
「あの国ではな、考えずにただ従うんだ。ただ、従うだけだ」
「考えるとな、頭、おかしくなるんだよ」
「考えるとしたらな、どう生き抜いていくか、それだけだ」
「あとは、思考停止させる。思考停止」
「楽だぞ、思考停止」
ソンホの乾いた笑い、、、
監視なしで出歩くことも、日本の歌を歌うことも許されない非公式の帰国。
挙句、実の妹に「色んな人と話をして、報告する仕事」、つまり工作員の仕事をしないかと提案することすら強要される。
そもそも両親はなんで16歳の息子を北に送ろうと思ったんだろう?
「当時は、北に行けば幸せになれるってみんな思ってた」ってお父さん言ってたけど、まじか、、、情報がないって怖い。
「俺はな、俺はもうこう生きるしかできないんだよ。いいんだ、それで。いいんだ」
言い聞かせるように言うソンホ。
自分にはできないこと、つまり「どう生きるか考えて、納得しながら生きる」ということを妹に託して、病気も治せないまま北に戻っていくソンホ、どんだけ絶望的な気持ちだったんだ、、、
それを何もできずにただ見送るしかない家族の気持ちも、なんかもう想像できない、、、
エリは最後に、ソンホと一緒に店で見たスーツケースを買ってた。
ソンホの願いの通り世界に羽ばたいていくんだろうな。
自分の人生、っていうものがちゃんとあること、「息子が寝た、さぁ何をしよう?」って考えられるこの生活を、当たり前と思っちゃいけないね、、、
なんかすごいつらい映画だった。嘆息。