「ライアン・ゴズリングが高倉健に見えた」ドライヴ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ライアン・ゴズリングが高倉健に見えた
ただ単純なアクション映画やバイオレンス映画ではない。
孤高の男の熱く深いドラマである。
昼は映画のスタントマン、夜は強盗犯を逃がす天才ドライバー。
好意を抱いていた女性を守る為、ある仕事を引き受けるが、危険な世界に足を踏み入れる事に…。
登場人物も少なく、ストーリーはシンプル。
前半は非常に静かな展開。
そんな沈黙を突然破るバイオレンス。
日常の中の事件だって唐突に起こり、張り裂けそうな緊張感に包まれる。
そして遂に主人公の怒りが爆発し、一気にクライマックスへ。
暴力描写はなかなか強烈だが、淡々とした語り口との対比が、暴力の恐ろしさと哀しさを訴える。
ライアン・ゴズリング演じる主人公がとにかくクール。
無口だが仕事は完璧にこなし、女子供には優しく、きっちりケジメを付ける。
まるで高倉健か、東映任侠映画の主人公か、マカロニ・ウエスタンの主人公のような、ストイックで男気溢れる姿にしびれる。
別れのキス・シーンが美しく、悲しい。
ニコラス・ウィンディング・レフンの演出、映像、音楽、編集、ドライヴ・テクニック、全てがハイセンス。
キャリー・マリガンが可憐。
お久々アルバート・ブルックスが貫禄たっぷり。
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