「この物語は(今のところ)フィクションです。」コンテイジョン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
この物語は(今のところ)フィクションです。
スティーブン・ソダーバーグ監督最新作。アカデミー賞受賞者の豪華共演で描く、
パンデミック(伝染病の世界的流行)をテーマとしたサスペンス映画……
などとはもう呼べないです。こりゃ最早、一種のシミュレーションの域に達している。
アメリカのとある一家庭の主婦を皮切りに、
感染が始まり、人が死に、隔離が始まり、人が死に、パニックが拡がり、人が死ぬ。
目の前で淡々と、ただ淡々と事態が進行していく。
そして、次々に提示される数字たち。
人が物に触れる回数(1日2〜3000回)、致死率20%、ウィルス再生産率、都市人口、感染者数と死亡者数……
数字ってのは恐ろしい。数字は躊躇というものを知らない。情け容赦も無い。
冷徹に事実だけが提示されてゆく。
悲しい話、こんな混乱の中じゃ、他人の事を構う余裕がなくなるのが本当なんだろう。
皆、自分や自分の大事な人間を守ろうと必死になるあまり、他人をないがしろにする。
そうやってパニックが拡大してゆく。
それこそ伝染病以上に恐ろしい部分だ。
にしても、ジュード・ロウ演じるジャーナリスト気取りのブロガーが腹立つ!
一般市民の代表みたいなツラして、実はこいつ自身がカネの事しか思考に無い下劣。
どっかの国の政治家や、リーマンショックでひっそり儲けてた連中と同類だ。
いや、腹の内を見せずに支持を集めている分、コイツの方がタチが悪い。
結局パニックを増幅させる事しかやってないくせに
罪にも問われないし病気にもかからないし……キィー、ムカつくッ!!
アイツの頭にアイツのPCを叩き付けて粉々にしてやりたい! 頭もPCも!
(アレ、なんか物凄く怖い事言ってる?)
ブロガーに薬の宣伝をするよう依頼した連中やら、
「クリスマス商戦が……」とか言ってた連中やら、
どんな悲惨な状況でも金儲けしか思考に無い連中は絶えないのね……嗚呼。
最後に明かされる感染源。
あんなありふれた経路で感染が始まるとは……防ぎようが無い。
人混みに入る事が、雑多な物に触れる事が、呼吸する事が怖くなる。
普段から潔癖症の人がこの映画を観たりしたらノイローゼになりそう……。
そういう方々は、劇場で咳が聞こえただけで逃げ出したくなったかも知れないね。
とりあえず僕らは出来る事をやるしかない!
マスク・手袋・手洗い・うがいを忘れずに!
保健の先生みたいなコメントでレビュー終わり!
<2011/11/12鑑賞>