劇場公開日 2011年11月12日

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「フィクションが現実になる時」コンテイジョン さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィクションが現実になる時

2020年4月16日
Androidアプリから投稿

"コンテイジョン"、直訳で「接触感染」
この言葉が昨今の大混乱を起こしていると考えると、やはり恐ろしいです。

この世界情勢の中で「リアルだ」と話題を呼んでいる本作。
確かに想像以上にリアルでした!

この映画が作られたのは2011年なので、時系列で言うと豚インフルが大流行した後に作られた映画ということですね。

パンデミックで世界中の様子を描いていており、そこで繰り広げられる登場人物達の群像劇で描かれているため、主人公に相当する人物は複数います。

マット・デイモン演じる、妻が感染したことでパンデミックに巻き込まれる夫。
ローレンス・フィッシュバーン演じる、ウイルスの原因を究明しようとするCDCの医師。
ジュード・ロウ演じる、ウイルスの陰謀論を唱えるジャーナリスト。
マリオン・コティヤール演じる、香港に派遣されたWHOの疫学者。

以上の4人の視点から、ストーリーが展開されていきます。

その一人一人の行動がそれぞれの役割が解りやすく与えられていて、ストーリーが全くごちゃごちゃになっていませんでした。

マット・デイモンは我々一般人視点の人物で、彼の視点から市民の行動が描かれているのが面白いです。
また、ローレンス・フィッシュバーンはウイルスの原因を探り、マリオン・コティヤールはウイルスの出所を突き止めていきます。
そして、ジュード・ロウはブログに「これで病気が治る」というデマを拡散し、市民から英雄視されながらも大混乱を引き起こしてしまいます。厄介なキャラクターですが、こういう人が実際にいると思うと非常に興味深いです。

また、グウィネス・パルトロー演じるマット・デイモンの妻がウイルス感染し発症した際の状況があまりにもリアルで、凄く怖かったです。

凄いのは、パンデミックになった後の人々が起こす行動と感染が広がるプロセスのリアルさですね。

パンデミックによって混乱が生まれ、人々が落ち着いた行動が取れなくなるのもリアルです。

アメリカでも日本でも昨今のコロナによって買いだめが起きていて、アメリカでは銃等がそれに合っているので「なんで?」とは思ってたのですが、原因がこの映画を観て理解できました。
本当に恐ろしいです…

後半の方で、病院の現状が出てくるのですが、先日ニュースで見たニューヨークの医療現場と全く一緒で驚きました!

劇中でこれだけの出来事が現実に起きているので、予見したと言われるのも無理はありません。

ただ!
時代の流れによる性なのかいくつかおかしな点もありまして、そこで個人的にマイナスになってしまいました。

※これから話すのはあくまで一個人の意見なので、正確かどうかは解りません。

まず、劇中で設定されてるウイルスの強さです。
数時間で亡くなるぐらいの強さを持つウイルスがパンデミックを引き起こすのが個人的に引っ掛かりました。
昨今の新型コロナ然り、豚インフル然り、世界中で大流行した感染力が強力なウイルスの殆どは毒素(症状の重さ)がさほど強くありません。
これだけ致死率や毒素が強いとかえって狭い地域にとどまってしまい、パンデミックは起こらないと思うので、少し症状を強くし過ぎてると思いました。

また、「接触感染」を描いていながら、「距離をあける」という行為をしないのも不自然です。
大混乱を起こしてる市民ならまだしも、テレビのスタジオでも近い距離で対談していたので、そこには「ちゃんと離れろよ!」と思ってしまいました。

ただ、そこは今よりも解ってなかった所も多いと思うので不自然な点が見られるのも仕方無いのかなと感じます。

それを踏まえても、この映画のリアルさには絶賛したいです!

この映画を観てますます、自分達が今何をすべきか、どうすれば混乱は防げるのかという事を考えさせられました。

なかなか大変な状況でフラストレーションも溜まりますが、まず自分は今出来ることをこれからもやっていこうと思います。

だからこそ、このレビューを見てる皆さんもどうかお大事に!

さうすぽー。