「父親としての意思の強靭さ」ファミリー・ツリー talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
父親としての意思の強靭さ
<映画のことば>
家族は群島と同じだ。
全体では一つだが、個々は独立し、少しずつ離れていく。
自分の感情は圧し殺しても、なお家族が崩壊することを必死に食い止めようとするマット(ジョージ・クルーニー)の姿が、印象的な一本でした。
そりゃあ、並大抵のことでは、なかったことでしょう。マットにとっては。こういう状況で自分の感情を圧し殺すのは。
ボートの事故で最愛の妻の命が奪われようとしているということだけでなく、その最愛の自分の妻が他の男性に心も体も許していた、しかも、入れ込んでいたのは妻のほうで、相手の男性の方はマットの妻を単なるセフレとしか見ていなかったというのですから。
こういう事態を招いたことについて、マットにも責任があった(弁護士としての仕事に明け暮れて、家族を顧みていなかったetc.)のかも知れませんが、その心痛は、察して、余りがありすぎると言うべきでしょう。
しかし、自分というものを殺し通すことができたからこそ、二人の娘…特に17歳という余計に感受性が強かったであろうアレックスとの父娘関係も破綻なく維持することができ、家族の崩壊を食い止めただけでなく、妻の野辺の見送り(海洋散骨)まで、無事に済ませることができたと言えるのだと思います。
それぞれの島(娘…と妻?)を群島(家族)として取りまとめようと努力する父親としてのマットの…その精神力の強靭さ。
そのことに思いを致すと、充分に秀作と評することができる一本と思います。本作は、評論子は。
なお、イケメンながら、どうかするとドラマでは三枚目的な役回りを演ずることが、多かったのではないでしょうか。ショージ・クルーニーは。評論子には、そんな印象です。
その彼がシニカルに演ずるドラマというのも、面白い一本でした、評論子には。(でも、どことなく、やっぱり三枚目っぽい?)
そのことも加味しての評価となっていることを、申し添えておきたいと思います。
なお、本作は、映画.comレビュアーに教えてもらって観た一本になります。
末尾に記して、きりんさんへのお礼としたいと思います。