劇場公開日 2012年11月17日

「エヴァに似たエヴァではない何か」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q niggさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0エヴァに似たエヴァではない何か

2012年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

従来のエヴァから難解さ以外のすべてのものを除いた作品。

CGを多用したお粗末な作画、何が起きているのか把握しづらいセンスのない演出とアニメーションとしてもとてもじゃないが褒められるものではない。

また、いままでのエヴァではしっかりと描かれていた日常的な細かな描写も少ない。主要キャラ以外がほとんど画面に映らないため、誰がエヴァを作っているのか、どうやって組織を運営しているのかが全くわからない。つまりリアリティが圧倒的に不足している。旧来のエヴァではちゃんと描かれていたのだが・・・。仮に東日本大震災に影響を受けたなら、こうした日常的なシーンは大切にするべきなのではないかと私は感じた。

そして個人的に最も悲しかったのはキャラクターがほとんど描かれていなかったことだ。あの魅力的なキャラクター達が、ただストーリーを進行させるためだけに存在しているのが非常に寂しく感じた。特に、自分にとってエヴァの魅力の大部分を占める碇シンジが、"何も考えていないただの馬鹿"として描かれていることには、寂しさを通り越して憤りを感じた。

Qでは新たな謎がたくさん提示されたため、エヴァで考察を楽しむ人には評価されるかもしれない。だが、あの世界観やキャラクターに惹かれていた人達は肩透かしを食らうだろう。もちろん新劇場版から新たにファンとなった方々にもおすすめできない。

正直新劇場版の製作が決まったとき、何故今更と思った。自分のなかでエヴァンゲリオンは旧劇場版の時点で満足のいく作品だったからだ。だが新劇場版破を見てエンターテイメントとしても評価される新たなエヴァを作りたいのだと感じた。しかしこのQをみて、新劇場版の存在意義がわからなくなった。結局エヴァというブランドで金儲けを続けたいだけなのかもしれない。

新劇場版は4部作という事なので、エヴァとしては次回作を見ないと評価できないのかもしれない。しかし1つの映画としてみると、この作品は近年稀に見る駄作である。仮に次回作がどんな素晴らしいものとなっても、この評価は覆らないだろう。

nigg