「心に響いた」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q kutuさんの映画レビュー(感想・評価)
心に響いた
今までの映画ではアニメの頃と同じ路線で、シンジくんやアスカやレイの心の闇が中心に描かれていた気がする。
この前金曜ロードショーで2回目の映画作品が流れたが、
私個人としては何かがっかりしてしまった。
1年くらい前なら、レイのシンジをぽかぽかにしてあげたいや、
ぼくなんか。。と落ち込んだり、父との関係に悩む主人公にも共感
できていた気がするが、
去年大震災を経験した日本人には共感にかける映画になって
しまったのではないかと思うのだ。
まず主人公が自分の心の闇にいつまでもとらわれていて外界を
見ようとしないこと、これがすこしいらっとしてしまうのである。
世の中には主人公のように悩んでいる人はいくらでもいる、
そして震災のように身動きできないほどの
苦しみを外から与えられてしまう人もいる。
私自身もいろいろなことに悩みながら生きてきたが、震災があったときは
こんなちっぽけな悩みに苦しいと言い、ぬくぬくと生活している
自分がいやになってしまった。
そして今回の映画。
今回は気晴らしに見に行ったのだが、見に行って本当によかったと思えた。
主人公以外のキャラクター、一人一人から感じられる”人間”としての個性。
そしてそれと対比されるような”綾波”という存在。
より人間らしくなったエヴァの世界で、
主人公が心の悩みよりももっと大きな課題にぶつかり
乗り越えようともがく姿に再び共感が生まれた気がする。
とにかく”生き抜く”ということがテーマの人間らしい映画だった。
読んでいて自然に入ってくるレビューでした。またその視点も、的を射ていると私は思います。
この「Qの世界」について巷では「これはパラレルだ」とか「ループしている」とか言われています。そんな設定になっているのかもしれないけど、私は、(kutuさん同様)庵野さんが「若かりし頃の自分」と向き合い、整理しなおす作業を通じて、過去の自分と「お別れする」ことを暗示した作品だと思っています。